5月4日(土) 松山市衣山にある「インターネットカフェ メディアボム衣山店」に泊まる。

松山市衣山にある「インターネットカフェ メディアボム衣山店」に泊まる。


連休に入る前に旅行先を変更したので、萩で泊まったような人と交流できる宿を予約しようとするも、いくつか調べただけでもすべて埋まっていた。こうなると得意とする漫画喫茶に泊まることに決める。松山市にいくつかあり、少し離れたところにある「インターネットカフェ メディアボム衣山店」は値段もそう高くなく、珍しいことに予約もできるらしい。さっそく電話してみたら、本当に予約できた。漫画喫茶を予約するのはなんだかおかしな気もするが、泊まる場所が確保できたのは安心だ。


ところがその日になってみると、電車に乗って衣山へ行くのが少し面倒だ。電車代は片道200円ぐらいするので、往復すると約500円かかり、ついでに時間もとられるので、松山市駅前にあったカプセルホテルに3000円に届かない値段が掲げられていたので、ここのほうがよかったと少し後悔したが、知らなかったのでしかたない。


道後から、市内電車を乗り継いで衣山駅(ころもやま、と読んでいた)へ着く。午前中に高浜駅から来る時にも思ったが、郊外型大型ショッピング施設が駅の近くにあり、旅情をそそる庶民的な雰囲気は一気に削がれて、フランチャイズの店のような一般的で味気ない場所だった。そんな場所にある漫画喫茶に泊まるのだから、これまた面白みがないだろう。


唐津だったか、倉敷だったか、どこかの漫画喫茶はカレーを無料で食べることができて、そのカレーは具がほとんどなく、小さいジャガイモだけがあり、それを口に入れると危険を感じる酸味があったのを覚えている。カレーそのものはレトルトが熱と時間に熟成されたようなまるい味だった。そんなサービスがあればと思ったが、ここの漫画喫茶はそういったものはなく、ドリンクを入れるカップも小さい紙コップで、グラスではなく、飲み物を頻繁に取りにいかなければならないので手間がかかる。


二人用のフラットスペースだったので体を伸ばして眠れる。ブランケットもたっぷりあり、マットも悪くない。いつもなら漫画を読んでから深夜に寝るが、さすがに疲れが溜まり、体のかゆさに不安を覚えていたので、すぐに眠る形に入った。


学生時代は、学校よりも多く通った印象のある漫画喫茶は、さまざまな思い出があり、悔恨と後ろめたさ、それに様々な物語で自分の毎日を揺らしていた。目を開けて天井を見ると、高く、空調設備の管がむき出しになって設置されていて、地がむき出しのがらんどうは、コンクリートの洒落たカフェのような雰囲気ではない。不気味な集合的な意思を感じる、商業主義の空間にいることを強く感じる。


深くは眠れないが、一泊なら漫画喫茶でもいい。のびのびと憩うことはできないが、学生時代の思い出に誘われて泊まりに来るのだろう。チェックインとアウトと呼んでいいのかわからないが、簡便で早く出入りできるから、誰にも触れられたくない人には向いているのだろう。

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