3月9日(土) 広島市中区基町にある広島城二の丸跡で遠櫓遥々Vol.3「鯉城de知る鷺流狂言」を観る。

広島市中区基町にある広島城二の丸跡で遠櫓遥々Vol.3「鯉城de知る鷺流狂言」を観る。


山口鷺流狂言保存会

演目:千鳥


江戸時代には大蔵流と共に主流だったらしい鷺流は、明治に入り家元が途絶えてしまったらしい。ところが山口では町衆による「伝習会」によって受け継がれていて、今は山口鷺流狂言保存会によって継承されているとのこと。


そんな鷺流狂言が広島城二の丸跡にて無料で観れるというので行ってきた。


細長い二の丸内の奥が舞台となり、やや狭いが、太い松の木らしい梁が天井を支える静かで冷たい空間で、雰囲気は悪くない。座布団とパイプイスが客席となり、外は昼の暖かさが残るのに、内部は冬のように寒さが足元から染みる。


鷺流の歴史や、大蔵流と和泉流の違いの説明のあと、泣き、笑いの所作を一緒に体験してから、演目が始まる。


橋掛かりは奥の階段がそれとなり、演者は静かに降りてくる。それからは抑揚の少ないセリフにより、狂言らしい動きが始まる。舞台がいくら狭くなっても、動きによっての場面の現出効果は変わりなく、プロでなくても、表情を含めた動きと台詞まわしによって、狂言の世界が間近で味わえる。穴蔵のように閉鎖的なところで、寒さを我慢しつつ観るこの狂言は、珍しい価値がある。能楽堂の制約から解放されながらも、明確な枠を保持して、観客に親しみも伸ばす舞台となっていた。


山口は良いな。旅行が鷺流狂言と共に思い出される。津和野の鷺舞は関係あるのか疑問に思ったが、そもそも主流の流派だったから、あまり関係ないかもしれない。そんな根拠のない解いを自分で決めて、質問コーナーでも、寒さが邪魔して口を閉じさせる。


帰りは薄暗い二の丸内を通る。復元された場所だとしても、特別な舞台で、貴重な体験となった。

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