10月26日(金) 津和野カトリック教会を観る。
津和野カトリック教会を観る。
ゴシック様式らしいが細密な彫刻で飾られているわけではなく、石の色のような冷たい地肌でもないので、それほど暗い印象はなく、親しみが持てる。
内部は色の濃い木材の天井に、白壁とステンドグラス、それに畳敷きがうまく調和している。モダンなデザインでもなく、西洋の特徴だけを借りたわけでもなく、その土地の風土に基づいたような印象を受ける。
隣接している乙女峠展示場には、「浦上四番崩れ」とよばれる弾圧によって流されてきた人々の資料が展示されている。酷いものだ。
長崎浦上から100名を超えるキリスト教信者が、神道による教化に自信を抱いていた第11代藩主、亀井茲監の津和野藩のもとへ預けられ、惨たらしい拷問を受けた。
三尺牢、氷攻め、火あぶりなど、信仰を改心させることができないとわかると、野蛮な方法を取るというまるで子供の思考回路のような手段にでたそうだ。津和野藩は、学問、宗教、技芸、どんな分野にでも必要な根気と継続が足りず、そういう手段を選ばせるほど流されてきた人々の信仰心は強いものがあったのだろう。
これが幕末から、明治に入っても行われていたことに驚きだ。新政府が神道に改宗させようとしていたことは、西洋の技術と文化を必死に取り入れようとしながら、キリスト教を取り入れずにいた実用的な思惑を感じる。
結局、時間が足りなくてマリア堂のある乙女峠には行けなかった。ふと、津和野百景図を依頼したのは、津和野藩主だった亀井家だったことが頭に浮かんだ。幕末から明治の初期にあったこの出来事は、百景図に描かれているのだろうか。「乙女峠の氷責め」、こんな絵があったら趣味が悪いだろうが、必要な絵ではあるだろう。
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