10月26日(金) 津和野の「沙羅の木」でうずめ飯を食べる。

津和野の「沙羅の木」でうずめ飯を食べる。


津和野町日本遺産センターのすぐ近くに峰月堂という菓子屋があり、お得チケットに付いていたカフェスイーツ引換券をそこの店で使い、津和野名物らしき源氏巻をもらった。


つぶあんとこしあんがあり、こしあんの小さいのをお姉さんにもらい、何も買わずに出るのは少し気が引けると思いつつ外に出て、のんびりと本町通りの家並みの写真を撮っていると、二分ほどして先程のお姉さんがこちらへ走ってくる。


どうやらもう一回り大きいのを渡す決まりになっているらしく、わざわざ走って届けてくれた。何も言わなければ、このまま満足していたのに。お礼を言い、息を切らして戻るお姉さんの後ろ姿を見ていると、申しわけなさと朗らかな気持ちが相まって、かすかな含み笑いが浮かんでしまった。


昼に津和野に着いたので、あんドーナツを食べていたとはいえ腹が減っていた。観光案内所で教えてもらったカトリック教会の向かいにある店に入り、津和野名物らしきうずめ飯のランチをいただくことにした。


お茶漬けのような食べ物だ。ダシを啜ると、すでにわさびの香り良い味が汁に染みていて、しっかりした醤油ダシと混じり合ってほっとする。うずめ飯の名の通り具は下に埋まり、ほじくり返すと、しいたけや豆腐、人参などが浮き上がってくる。


ぷるぷるしつつ歯ごたえのある刺身こんにゃくは冷っとしていて、酢味噌と一緒に涼感を与える。今日は暑い日ではないが、感じのよい冷っこさだ。


甘エビの天婦羅がとびきり甘く、身は柔らかく、刺し身と違って油に枠を大きく広げられた甘さだ。


鮮やかな白さのれんこんは見た目通り歯ごたえがよく、味がちょうどよく染み込んでいる。


葉わさびの醤油漬けが鮮烈な風味だ。濃い味付けながら、生き生きしたわさびのふくよかでつんとした香りが鼻腔を駆け抜け、何度もむせてしまう。目が熱く、口は辛くも甘く、ご飯が本当に合う。これは美味しい。


お茶の湯呑の下には、和紙の貼られた茶托があった。派手ながらも落ち着きのある文様は、使い古されてかすれた味わいがある。地層について教えてくれた男性は、津和野は和紙が有名だと言っていた。


アンティークな小物が配置されていて、昭和のレトロを感じさせる店内は落ちつている。「沙羅の木」は同じ店内に土産屋もあり、和紙の貼られた盆などが売られていて、食べる、買うを一緒に済ませることができる。古臭い土産ではなく、デザインも清潔でスマートな物が多い。


ゆっくりと土産物を見たかったけれど、時間がやはりせっついてきてそうはさせず、試食のわさび漬けやしいたけ漬けなどを食べて店を出る。


店のカウンターには緑の仏炎苞を持つアンスリウムが飾られていて、鉢は見たことのある赤い陶器で、これは、自宅にあるピンクのアンスリウムと同じ物だ。


まさか広島のシャレオで買ったわけではないだろう。おなじ生産業者だろうか。


源氏巻は300円くらいするだろうか。食事は商品券で1000円引きだ。レンタサイクルは800円だから、すでに2100円は支払うことになっている。1500円のお得チケットは本当にお得だ。まだ美術館のチケットが2枚残っている。

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