7月11日(水) 広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーでブルガリア映画の「猿」を観る。

EUフィルムデーズ2018、ブルガリア映画の「猿」を観た。


主人公は思春期の少女で、化粧っ気のない少年のような格好で、素直になれない痛ましく純粋な感受性が行動を突き動かし、大好きな父親が昏睡状態に陥り回復することを信じて見舞いに何度も訪れ、パルクールをする男の子を恋心を持って憧れるも、腹違いの派手な服飾の姉がその男と親しい関係になり、その姉は別の家族と住んでいて父親への見舞いには行かなくなり、姉妹で学校の先生の女装癖をあばき、学校にばれて退学処分を検討されるようになり、父親が昏睡状態になる前にやってきた猿を……。


喪失を繰り返して人生はひらかれていく。若い少女にとって父親の喪失はあまりにも辛い出来事だ。女装癖の男性教師は、子供の頃に離れ離れになったオペラ歌手の母親への想いから倒錯して女装をする。この教師は母親の死に際に間に合わなかったことを腹違いの姉に伝え、父親への複雑な感情に素直な決断を下してこの姉は父親の死に間に合うよう病院へ走る。


様々な要因が各登場人物に散りばめられ、通底する要素があり、対比される性質があり、それぞれが交錯する。


喪失と孤独の先に未来があることをこの映画は伝えている。

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