その2 詰将棋デビュー
早速、翌日母が詰将棋の本を買って、病室まで届けてくれた。羽生善治先生の初心者向けの詰将棋本。当時の私ですら知っている数少ない棋士の一人。もちろん彼の名を知らない人の方が少ないだろう。
私は、母が帰った後、ベッドの中で早速その本を開いた。
私が最初にするべきことは、駒の動かし方を覚えること。恥ずかしながらそのレベルだったのだ。何故、それなのに私は将棋に手を出したのかが本当に分からなかった。恐らく、世間の将棋ブームに乗っかっただけなのだが…。
さあ、いよいよ勉強スタートだ。
うん、『
『
厄介なのは、『金』と『銀』だ。
コイツら、何故か微妙な動きをしやがるのだ。少しの間、この二人に苦労させられることとなる。
あと、駒は敵の領地内に侵入するとひっくり返ってパワーアップするのだ。元より強力な駒である『飛車』、『角』はそれぞれ『
さて、ざっと駒の動きを見たことだし、早速問題に取り掛かろう。
だが、うつ病とは集中力が続かない。正直なところ、駒の動きを学んだだけで、かなり体力、精神力が奪われていた。
そんな状況で取り掛かった一問目。いや、正確には例題1。1手詰の問題。
『
一応、しっかり王様の逃げ道がなくなったことを念入りに確認した。
この日私は、この一問で断念した。集中力が限界だった。また少しでもやりたい時にやってみよう。
それにしても、今の私の体力はこの程度だったのか。焦りと共に、少し胸が苦しくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます