第21話 時間と消失

 朝目を覚まして、隣に人がいることに驚くことはなかった。

 のそりと布団から出て、テーブルの上の中身の少ないペットボトルを手に取る。

「朝ですよ先輩、起きてください」

 そういって葉山の肩をゆすると、葉山は寝返りを打ち、

「まだ眠いぃ」とぼやいていた。

「もう九時ですよ、朝食の時間すぎてます」

 葉山は上半身だけ布団から飛び起きる。

「うっそ!もうそんな時間なの?」

「夜更かししすぎたんですね」

 南雲はペットボトルに口をつける。

「先輩も朝は弱いんですね」

最後の一口を呑み終わってキャップを締めるときには、葉山はもう部屋にはいなかった。

「はっや……」

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