第19話 訪問と襲来

日も暮れ、辺りが寝静まった頃。

廊下でたたずむ影が一つ。

その影は、その扉の前にいた。三回ノックをする。

「はーい」

すこしだけ扉が開かれる。開けたのは、南雲一樹だった。長ズボンと無地のTシャツを着ており、いつでも寝ることが出来る状態だ。

「すこし話があるのだけど、部屋、いい?」

はぁ、と声を吐き、扉を開ける。

「珍しいですね、あなたから話しかけるなんて」



葉山はベッドに腰かけている。

「お久しぶりですね。今回はどういったご用件で?」

一樹が目の前のテーブルにクッキーを置く。

「ちょっと話したくなって」

「はぁ」

「最近、南雲君が前みたいに私のところに来なくなったなって思ってさ、好きな人でもできちゃったのかな?」

 葉山は挑発的な笑みを浮かべる。

「あ、いや、そんなことはないですよ。好きな人もいないですし」

「うっそ!てっきり彼女出来たのかと思った!」

 葉山は何も言われていないのに勝手にベッドに座る。

 葉山の服装は、グレーのタンクトップにデニムのベリーショートパンツ。とても露出の多い格好だ。こんな夜中に、そんな服装で、ましてや、男である南雲一樹の部屋に上がる。とても不用心だ。

「南雲君の部屋はモノとか少ないのね」

 葉山が足を組むと、隙間から下着が見えた。南雲はそれを見ると葉山に背を向け、首の裏を掻く。

 葉山は音をたてないように立ち上がる。

 葉山は気づかれないように南雲に近づく。

 南雲は首から手を離す。

 露わになった南雲の首は、葉山の鼻の先にある。

 葉山は口を大きく開けた。


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