第16話 悲鳴と肉
* 四日目
屋敷に幽閉されてから三度目の朝。
悲鳴を聞きつけた四名は扉の手前で足を止める。扉は既に開いていた。
蓬静の部屋の床は赤い液体で濡れていた。床の中央には液体の発生源と考えられる赤い塊と、それに被さるように西川がいた。鉄の臭いが鼻を刺す。
「なんだ……これ」京也は塊を視界に入れ、言葉を漏らす。
「西川……? それ、蓬なのか……?」
京也がふらふらと二つの赤い塊に近づく。赤い液体に足が触れた瞬間、
「来ないで!!」ヒステリックな叫び声が空気を割り、京也の動きを止めた。
京也は肩を震わせ、走って部屋を出る。水沼の肩にぶつかったが、そのまま押し通るようにして走っていった。一樹も京也を追いかけ、部屋から消える。
九城は腰を抜かし、這って部屋を出ていく。
水沼が、逃げ出す一同から塊に目を戻す。塊を視界に入れると、目を見開き、口元を手で覆い、そのまま部屋を出ていった。
部屋には、ぴちゃぴちゃと液体が遊ぶ音と、西川がすすり泣く音だけが響いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます