第16話 悲鳴と肉

* 四日目


 屋敷に幽閉されてから三度目の朝。

 悲鳴を聞きつけた四名は扉の手前で足を止める。扉は既に開いていた。

 蓬静の部屋の床は赤い液体で濡れていた。床の中央には液体の発生源と考えられる赤い塊と、それに被さるように西川がいた。鉄の臭いが鼻を刺す。

「なんだ……これ」京也は塊を視界に入れ、言葉を漏らす。

「西川……? それ、蓬なのか……?」

 京也がふらふらと二つの赤い塊に近づく。赤い液体に足が触れた瞬間、

「来ないで!!」ヒステリックな叫び声が空気を割り、京也の動きを止めた。

 京也は肩を震わせ、走って部屋を出る。水沼の肩にぶつかったが、そのまま押し通るようにして走っていった。一樹も京也を追いかけ、部屋から消える。

 九城は腰を抜かし、這って部屋を出ていく。

 水沼が、逃げ出す一同から塊に目を戻す。塊を視界に入れると、目を見開き、口元を手で覆い、そのまま部屋を出ていった。

 部屋には、ぴちゃぴちゃと液体が遊ぶ音と、西川がすすり泣く音だけが響いていた。

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