第6話 ルールと殺意

日の出ている間、各自で話し合いをして頂きます。

次に、夕食の後に各自部屋にて、人狼だと思う者に投票していただきます。

その後、投票数の一番多い方の処刑を行います。

処刑終了後、各自部屋へ戻って頂いて、夜の行動へ移って頂きます。

これらを、どちらかの陣営が全滅するまで行って頂きます。


部屋の机の上に赤い封筒がございます。その封筒の中にそれぞれの役職と、その説明、ルールの詳細などが書かれています。詳しくはそちらをご覧ください。それではまた朝になりましたらこちらにお呼びします」


 いつの間に扉の前まで移動していた執事は、扉の向こうへと消える。

 遠野が引き留めようと立ち上がるが、扉が閉まる音が遠野を黙らせる。

「くっそ、どうなってんだよ」どかっと椅子に身を投げ、頭を掻く。場の全員の表情が曇り始める。沈黙が、空気に重りを乗せていく。


「今は一旦部屋に戻って、封筒を確認するしかないな」

「そんなことよりも!この中に殺人鬼がいるってことでしょ!」

 山崎が勢いよく立ち上がり、叫び始める。

「騒ぐな短距離バカ、お前は走るだけしか能がないのか?」

「なによ!そうね、あなたが殺人鬼なのね!」

 遠野は舌打ちをして、席を立つ。「勝手に言ってろ、俺は先に部屋に戻らせてもらうぞ」

 遠野が扉へ向かおうとすると、山崎が肩を掴む。

「ちょっと待ちなさいよ、まだ話は――」

「いい加減にしろ。まだ封筒開けてねぇだろ」

 気が付くと、遠野の右腕が山崎の襟をつかんでいた。山崎の足は浮いている。その目には静かな殺意が込められていた。

「言っとくが、村人が村人を殺すこと、できないわけじゃないからな」

 葉山と一樹が止めに入り、二人を引き剥がす。山崎は床に座り込み、首をさすり、咳をしている。遠野は右手をズボンのポケットに突っ込み、部屋を後にする。

「絶対に殺してやる……絶対に殺してやる!」山崎のその目には、涙と、はっきりとした殺意があった。

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