文字への賛美

 息あるものは、こぞって文字を賛美せよ、ハレル文字。

 文字とは物理を超え、概念世界において物体、事象、その他諸々全ての価値を定める選定者である。その為物理世界に介入することは出来ない。概念上の「もの」に意味を与え、彩る事こそその役目である。

 しかし、なんと愚かな事だろうか。我々人間共は無理矢理にも「文字からなる概念世界」と「物理的事象からなる物理世界」を重ね合わせて世界を見ようとしている。相対する陰陽をまとめようなぞ不可能な話である。人にはその冒涜的、退廃的な愚行故に神より天罰が下る。其は文字の精の妖艶な毒の演舞である。其は眼を抉り、身体を挫き、心を、脳を砕く。

 主は仰せになった。「初めに言があった」と。それ即ち、言とは、文字とは概念世界の絶対的存在であるという事。人の子よ、ひれ伏せ。お前らの使う文字はこんなにも凄まじいものなのだ。人の子よ、讃え崇めよ。お前らの求むる神、光こそ文字である。

 文字を尊び、文字を敬え、ハレル文字。

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深夜のエッセイアソート 深夜 酔人 @yowaiyei

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