ハッピーなバレンタイン♡ 呟きラスト!

「えっ?」


 また騙されてんのかもしんない。

 秘書の子の嘘がよぎる。


「あっ、ありがとうございます」


 俺はチョコをとりあえずいただきました。

 俺はたぶんこの時キョトンとした顔をしていたと思う。


「なんだよ〜、その態度は。忘れてんのお前っ!」


 えっ? なに?

 俺は焦った。

 なにを忘れてんだ?

 俺は?


 焼肉屋の個室の畳にとりあえず皆が座る。


 この五分後に、俺にとんでもない事が起こる事になろうとは、思いもよらなかった。



 ここにいるのは四人なので、俺の隣りにはチョコをくれた可愛らしい女の子が座った。

 その子は顔が真っ赤だ。


「お前さあ。俺たちの結婚式で彼女の折れちゃったヒールを直してやったんだって?」

「ああ。そういや。結婚式じゃあ酒を結構飲んでたから忘れてた」


「私。一目惚れしちゃいました。あなたに」


 はあ―――――っ!?

 本気ですか!?

 正気ですかっ!?

 本当ですかあっ?


 可愛らしい目の前の女子が真剣な顔つきで俺にそう告げる。


「えっ?」

「付き合ってください」

「えっ? 本気で?」


 俺はパニックになった。


「まあそういうことだから。カップル成立な? 彼女にはお前の顔が男らしくて素敵なんだとよ」


 同僚はニヤつきながら俺にそう言うと焼肉屋のメニューを開き出した。


 俺は信じられなくて放心していた。


 俺に幸せの女神がやってきたよ。


「返事は〜?」


 同僚の奥さんがニヤニヤしながら俺をせっついてくる。


「俺なんかで良いの?」

「はいっ、あなたが良いんです」

「えっ、俺で良いんだ……」

「はい、あなたが好きです。付き合ってくださいっ!」


 こうして突然俺はハッピーになった。


「あ、あの〜。ありがとうございます。喜んで」


 俺は満面の笑みで彼女に応えた。


 本命チョコをもらえたな。

 そういや。


 俺ってヤツは、情けなくて、老けてみられて強面こわおもてでさ。


 恋愛も、いつもうまくいかなかったけど。


 今日はバレンタインデーです。


 俺はようやく久々に本命チョコをもらえました。


 うひゃっ、ラッキー♡

 めっちゃ、ハッピーだぜ。



         🍫おわり♪♡

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情けない俺に愛の本命チョコをくれ! 桃もちみいか(天音葵葉) @MOMOMOCHIHARE

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