仕事部屋のもうひとりの私

かちかちかち。

シャーペンのノックを連打する。


出した後に出し過ぎたことに気づいて、ノックを押しながら指で戻す。


机の上には、現実にもならない夢のかけらが散らばっている。


失敗してつまづいて、この空間が私の居場所。


ふと、手元をみてみる。

今まで書いたものを整理するためだ。


読んでみた企画書にはなんだかよく分からない偉い人ウケする内容が書き込まれていた。


「ふぅっー。」


詰め込まれた感情を一気に吐き出した。


この部屋には常に2人の私が存在している。


外にでてしまえば、2人はひとつになる。


それが私の日常。


だけどいつか願わくば、この夢のかけらが

この部屋の中でひとつになって、私もひとつになって。


夢と私を外へ連れ出せるといい。


かちかちかち、シャーペンをノックする時

膨らんだ気持ちに自然と口元が綻んだ。

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