お臍をねらう雷さま

@SyakujiiOusin

第1話

            お臍をねらう雷様


                               百神井応身


 むかしの人は、雷様が鳴ったらお臍を隠せといいました。

 雷様はお臍が大好きで、人間の臍を取って食べてしまうのだというのです。

 雷様というのは、雨雲の中に居て、小さな太鼓を叩いてゴロゴロ鳴らす鬼のような姿をしているのだと思われていました。

 稲光が走り、雷が近くに落ちる音は恐ろしいものです。

 実際に雷に打たれた人のお臍が、黒焦げになるということもあったようです。

 今の子供は、鬼のような姿をした雷様が居るなどということは信じていません。

 雷は電気の作用で起こるのだと知っているからです。

 でも、お臍を隠すということについては、意味があるのです。

 雷が鳴るような天気になると、あたりの温度は急激に下がります。おなかを冷やすような服装をしたままでは、体に良くありません。

 もう一つの理由は、お臍を隠すようにする格好は、姿勢が低くなります。雷は高い所に落ちるのです。

 おまじないで「くわばらくわばら」というのも、「ここは桑原で低い所ですよ」と告げるための気休めですが、体を低くすることは大事です。

 雷が遠くの方でゴロゴロ鳴り出したら、遠くだからといって用心を怠ってはなりません。

 雷は時速200キロメートルで進みますから、あっという間に近づきます。

 避雷針のある大きな建物や車の中に非難しましょう。

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