第2話 敷島1佐とは?

――会見の中、突如初代学校長を発表した敷島渚1等陸佐。

果たして、どういう人物なのか?


陸上自衛隊によると、敷島1佐は平成25年に防衛大を卒業。その後は様々な役職を経て、女性自衛官初のMFO、多国籍軍・監視団の司令部要員として中東へ派遣されました。

しかし、不運にもMFO派遣中にゲリラ勢力からの銃撃を受けた敷島1佐。

MFO派遣中の自衛官銃撃は、みなさんご存知の自衛隊史上初の戦闘行動を余儀なくされた銃撃事件。

憲法9条改正直後の、その事件の渦中にあった敷島さんはゲリラから撃たれ負傷しながらも、応戦し同僚たちを守ったこの行動が部隊で認められ、自衛隊内でも授与される隊員は少ないと言われる1級賞詞を授与。

更に、当時1等陸尉になりたてだった階級も、3等陸佐に特別昇任。20代の若さで中隊長クラスまで上り詰めるという、まさにエリート中のエリート女性自衛官。

ある情報筋によると、米国の陸軍レンジャー課程にも研修という形で参加していたとの噂も。

そして今日、自衛隊史上初の女子高の校長に抜擢。

横須賀にある工科学校の学校長は通常陸将補が着任するそうですが、自衛隊にある各教育機関で佐官クラスがトップを務めるのは異例とのこと。

当番組は記者会見終了後、敷島1佐を直撃取材しました。


「敷島学校長、ちょっとお時間よろしいですか?」

『…少しなら』

「ありがとうございます!では」

『ちょっと待って下さい。時任ときとう1尉、時間を』

『はい、現在時1147ヒトヒトヨンナナですが』

『じゃ、3分だけ』

「あ、はい。じゃあ早速。この度は学校長就任、おめでとうございます」

『はあ、ありがとうございます』

「自衛隊史上初の女子高、しかも初代学校長を任された今のお気持ちは?」

『さっきも言いましたけど、私も辞令を受けたのは今日でして、サプライズにも程があるっていうか。確かに学校創設にはずっと携わってましたけど、まさか学校運営を丸投げされるとは……。あまり嬉しくは…っ痛!時任、何すん』

『あと2分30秒』

『あ、あぁそうか。コホン。辞令を受けた時は、あまりにも突然だったのでビックリしましたが、それでも学校運営を私のような若輩者に任せていただき、身の引き締まる思いです』

「何だか途中でキャラが変わったような?」

『気のせいです。他には?』

「先ほど学校創設に携わったと伺いましたが、具体的にはどういう?」

『え~、特定秘密に関わる事なのであまり言えませんが、藤枝市や近隣の各関係機関との連絡調整が主ですね。他は授業内容だとか、行事とか、学校運営にかかわる事です』

「なるほど。では、少し踏み込んだ質問になるのですが、敷島学校長は現在お付き合いしている…」

『あと1分』

「えぇ!?ちょっと早くないですか時任さん?」

『あと30秒』

「わ、分かりました。では最後に、受験対象者である全国の女子中学生に一言お願いします」

『一言ですか。……人と違う人生を歩みたければ我が校へ!入校してくれたら、一般の学校に進学した同級生たちより刺激ある学校生活が送れることを約束します!以上です』

『はい、終了』

「刺激ある学校生活ですか。なんだか興味が惹かれますね。お忙しい中ありがとうございました敷島学校長!」



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