第1話 女子高等工科学校創設発表
——こんばんは、19時のニュースです。
ロシア海軍は今日、ロシア艦艇に実戦配備されている視覚光学干渉装置、通称FiLin(フィリン)の小型化に成功したと発表しました。
フィリンはロシア語でワシミミズクを意味し、周囲にストロボのような光を発射しレーザー標的システムを無効化、敵から見えないようにする兵器です。
このストロボの光を見た射手や狙撃手はめまいや吐き気、見当識障害を引き起こし、中には幻覚に似た症状も現れるフィリン。
そのフィリンが小型化され戦車や装甲車等の車両にも搭載可能となったとの事で、ロシア陸軍の報道官は戦車から優先的に順次搭載していくと発表しました。
一方、アメリカ大統領はフィリンの小型化について記者から質問されると、
『フィリンの有効射程は2キロ。我々はそれ以上の有効射程を持つレーザー標的システムや対戦車火器を開発すれば良いだけだ』
とやや険しい表情でコメントしました。
——次のニュースです。陸上自衛隊は今日、女子高等工科学校の開校を発表しました。
高等工科学校とは、陸上自衛隊唯一の学校。
将来の陸上自衛官を養成すべく、防衛教養や各種技術の専門教育のほか一般の高等学校の普通科と同等の教育を行う世界唯一の学校で、現在まで神奈川県の横須賀市に1校のみ。工科学校は開校以来、女子の受け入れはしていません。
近年、防衛省・自衛隊は女性職員の活躍推進を掲げていますが、全自衛隊での女性自衛官の比率は2018年の時点で6.5%の約1万5千人。全自衛隊の女性自衛官の比率を2030年までに9%にする事を目標にする防衛省。
そんな中、女子にも門戸を広げようと防衛省は新たに女子高等工科学校の創設を発表。
街の人は……、
10代男性『いや、ヤバいっしょ!?JKでジエータイって、なんか頼りがいありそう』
その友人『そっかぁ?なんかムッキムキなイメージなんだけどw』
40代男性『18歳以上ならともかく、16歳、高校生でしょ?そんな女の子に銃持たせて良いのかと思っちゃうねえ』
60代女性『断じて許せません!子供に、しかも女の子に軍隊みたいな事させて、国際社会が許すはずがありません!』
10代女性『えー!?あたし絶対無理ぃ!訓練とかってあるんでしょ?寮生活もめっちゃキビシそーだし、行きたい人が行けば?ってカンジ』
と、賛否両論の陸上自衛隊女子高等工科学校。
防衛省の女子高等工科学校についての会見映像です。
『陸上幕僚総監部、人事教育計画課所属の
これより女子高等工科学校に関する公開可能な情報についてお知らせします。よろしくお願いします。
陸上自衛隊女子高等工科学校の所在地は、静岡県藤枝市。女子高等工科学校の他は生徒たちの教育を支援する専門の部隊として、第310教育直接支援中隊を創設、配置します。その他にも業務隊や会計隊等が配置予定です。
女子高等工科学校は、武山の工科学校とほぼ同様の編成でありまして、学校長、副校長、その隷下には総務部に教育部、生徒隊と分かれています。
女子工科学校は一般高校の普通科と同等の教育も行う為、市内の藤枝中央高校と提携しておりまして、一般教員の方を派遣して頂いての通常授業と、レポート作成などの通信制の教育により、生徒は女子工科学校卒業時には藤枝中央高等学校卒業の資格も同時に取得する事になります。
教員についてですが、藤枝中央高校と調整しまして、こちらの方も出来る限り女性の教職員、というご配慮を頂いております。
開校は来年度4月。明日より生徒募集も行っていきます。』
『続きまして、310教育直接支援中隊の編成についてお伝えします。
310教育直接支援中隊……、我々は310
なお、配属される隊員については特定秘密に関する事なので公表は出来ませんが、学生全員が女子である事を考慮し、部隊についても隊員のおよそ半数以上をWAC、【女性自衛官】の配置を予定しております。他にもPX、一般で言う購買ですね。あとは隊員食堂や隊員クラブ……、これは居酒屋に近いものですが、これら民間委託しているものに勤務する従業員も、【全員女性】の方に限定するようご協力を頂いてます』
『……以上となりますが、皆さまの方からご質問があれば挙手をお願いします』
『え~、旭新聞の立川です。女子高等工科学校は横須賀にある工科学校とカリキュラムなどは同じ、という事ですか?』
『基本は同じですが、女子工科学校はそれに拘らない方針をと考えています』
『舞日新聞の大滝です。学生だけでなく一般の隊員や教職員、民間業者にまで女性だけに限定する理由は?』
『ご存知の通り、自衛隊は男女共に勤務しております。しかし、女子高等工科学校は寮生活となりますので、どうしても生活に密着したものとなります。なので、男女混合より別にした方が教育面で効率が良い、という所でご理解下さい』
『フジヤマTVの三田です。陸上自衛隊始まって以来の女子高という事で、国内外からも注目されると思いますが、この学校の初代校長先生というのはどういう方なんでしょう?民間登用ですか?それとも自衛官ですか?』
『初代校長はですね、つい一時間前に私も辞令を受けたばかりなのですが……』
『え?それはどういう事ですか?』
——数秒ほど沈黙する敷島渚1等陸佐。そして、
『女子高等工科学校初代学校長を拝命致しました、敷島渚1等陸佐です』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます