〇一四
「よぉ、どうしたってんだよ大将」
ロヴァが訊ねると、キャラバンの隊長は渋い顔で君たちの方を見た。
「まずいことになった。里に入れないかもしれない」
「?」
君たちの前に里の衛兵、幻日教団の僧兵が立ちふさがる。
鍛え上げられた筋肉質の身体を鎧に包み、大きな円盾と長槍を携えている。
門番は重々しくのたまった。
「聖導教会の騎士団がこちらに向かっているとの情報が入ったのだ。目的は我が里の蹂躙、そして旧都ローランダルクへの侵入に他ならない。よって、我が里には余人を抱え込む余裕はない。そちらも、戦に巻き込まれるのは本望ではあるまい」
君とロヴァは顔を見合わせる。もしも情報屋で該当する情報を閲覧していたならば、聖導教会という名前を聞いてピンと来ている事だろう。
だが、キャラバンの隊長は引き下がれない。
「その事はさっきも聞いて承知している。このままミラージ山脈を遠回りして東に抜ければその騎士団とやらも回避できるだろう。だが、それもこの里で食料を補給できたらの話だ。山脈の過酷な環境では食糧調達もままならないというのに……」
すると、門番は顔をしかめた。
「悪いが、里は戦に備えて物資を蓄えなければならない。外の者に分ける訳にはいかん。物資を徴収しないだけでもありがたく思え」
と、取り付くしまもない。
すると、ロヴァは大きく一つ咳払いをした。
「全く、ケツの穴の小さい話だぜ」
商隊長の肩に手を置いて、下がらせる。
「何だお前は?」
「ん? このキャラバンのリーダーさ」
しれっと嘘を吐くロヴァに隊長は眉をしかめるが、君はそれを目で制する。ロヴァが思い切った事をする時は、必ず事が成るという勝算あってのことである。
門番は槍の石突でドンと地面を突いた。
「話は聞いていただろう。我ら幻日教団はこれから聖導教会の異教ずれ共を迎え撃つ。立ち去られい」
「けっ、どっちも宗教ずれだろうが」
「どういう意味だ」
「そのまんまの意味さ」
ロヴァは目を細めた。
「そもそも、お前さん方『幻日教団』ってのは、『マダラメイアのしるし』を持つ『巡礼者』が亡都に挑めるよう、谷を守るのが仕事なんだろう?」
「そうだ。マダラメイア様のお怒りを鎮められるのは巡礼者さまのみ……だからどうした」
『巡礼者さま』という呼び方にロヴァはほくそ笑む。
「間抜け、俺がその巡礼者だっつってんだよ」
「何っ!」
これには門番も目を剥いた。敬虔な幻日教徒らしい。
「しょ、証拠を見せてみよ! 巡礼者さまは【しるし】を持っているはずだ」
「ああ、もちろんさ」
ロヴァはほくそ笑んだままベルトに手を掛ける。
君はギョッとする。
彼の【しるし】は尻にある。
こんなところで尻を露出するのはよした方が良いのではないか?
君はとっさの判断を迫られる。
ロヴァの行動に対する君のとっさの判断は、普段の彼との関係によって決まる。
これまでの冒険で加算された相棒点を参照して君の判断を判定したまえ。
・反論点が2点以上ならば、ロヴァを止めに入る。【〇一五】に進みたまえ。
【https://kakuyomu.jp/works/1177354054888453186/episodes/1177354054888479008】
・反論点が2点未満ならば、ロヴァを止めない。【〇一六】に進みたまえ。
【https://kakuyomu.jp/works/1177354054888453186/episodes/1177354054888479036】
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