4話 世界の理 人の理 side:愁
【side
「へ?...今なんて?」
俺は現実を受け入れたくなく、もう一度レイトリスに問いかけた
「だから...両方の属性も中途半端に持ち合わせてしまっている為
本来の魔法が発揮しないんだ。試しに一番簡単な魔法を教える。」
落ち込んでいる俺に救いの手を差し伸べてくれたレイトリス
ただ、これが鬼が出るか蛇が出るかはまだわからない
「小さな光を人差し指に宿すイメージをしろ。
こういう風にだ。」
そういうと左手の人差し指を前に出して魔法を唱えた
「પ્રકાશ」
(ライト)
そうするとレイトリスの人差し指が光り、強い光があたりを照らしている
「...わかった。やってみる。」
想像しろ もっと細かく...できるはずだ。
俺には魔法が必要なんだ...できるはずだ!
俺はできる限りの想像をした
「ચપળ ભાવના. શ્રી ઓનીશી લાઇટની શક્તિ આપો」
(巧妙なる精霊よ。恩方様の力を授けよ ライト)
何も起こらない あたりはレイトリスの明かりだけ
「...やはりな。光魔法は使えないと...それでは闇魔法だ。
闇魔法の一番簡単の魔法を教える。
自分の影を分身にさせるんだ。 影から人が出てくることをイメージしろ」
「શેડો」
(シャドー)
するとレイトリスの影がレイトリスと同じ髪型、体型、服装になった
ただ色はなく全て真っ黒だ
「こいつは術者の能力次第によって動ける範囲が決まる代物じゃ
情報収集ではよく使われたり、搖動でも使われるな」
そういうと指をパチンと鳴らすと影はレイトリスの足元へ戻って行った
わかった...今度こそ!
やってやる。さっきよりももっと想像してやる!
...影...影...影!!
「શેડો!!!」
(シャドー!!!)
何も起こらない
「શેડો」
(シャドー)
「શેડો」
(シャドー)
「શેડો」
(シャドー)
連発して魔法を口に出しても何も起こらない
「....無詠唱だからの?魔法は術者が未熟だったり、苦手な属性魔法を口にする時
詠唱といって魔法の前に唱える文言があるんだ。
それを言わないと発動しないという時もある。私に続いて唱えてみろ」
俺はコクリと頷きレイトリスの言葉を復唱した
「ચપળ ભાવના. શ્રી ઓનીશી લાઇટની શક્તિ આપો」
(慈愛なる精霊よ。恩方様の力を授けよ ライト)
『ચપળ ભાવના. શ્રી ઓનીશી લાઇટની શક્તિ આપો』
≪慈愛なる精霊よ。恩方様の力を授けよ ライト≫
レイトリスは成功するが、俺はやっぱり何も起こらない
もう一回挑戦しようとした時
「やめとけ。一回で出来なかったら出来ないんだ。
続いて闇魔法いくぞ?」
俺は冷や汗をかきながら再度頭縦に頷いた
「ઈર્ષાળુ ભાવના શ્રી ઓન્દા શેડોની શક્તિ આપો」
(嫉妬深き精霊よ。恩方様の力を授けよ シャドー)
『ઈર્ષાળુ ભાવના શ્રી ઓન્દા શેડોની શક્તિ આપો』
≪嫉妬深き精霊よ。恩方様の力を授けよ シャドー≫
レイトリスの方を見ると成功しているが、こちらは...
「何も起こらない...俺は...魔法が...使えな...いのか?」
俺は膝からガクっと落ちるように脱力した
ださい。 結果何処行っても俺は力なんてない
俺が力を欲することじたいが烏滸がましいんだ
よく奈那に言われてたっけ
『愁は自己評価が高すぎる!もっと自分は使えない人間と思いなよ。
じゃないと周りを巻き込んだ嘘になるよ?』
俺は心が痛み心臓の部分をぎゅっと握った
「ハハハ...ハハ。俺には無理だ。
やっぱり...俺は...」
レイトリスは蔑んだ目で俺を上から見ていた
「また。それか。本当に懲りないの。
どんだけ悲観的になっても。考えれば守れる方法なんてあるだろ。
体を鍛えたり...」
「...には...俺には!体を限界まで鍛えたところで!!
魔法が使えないなら!!守れないだろ!!!」
「何故そう言い切れる!?お前はこの世界の理を知らないだろ!
強靭な肉体があればまだ魔法を使えるかもしれんのだ!
今魔法適正なくても、強靭な肉体にもマナは宿る!」
「...そんなの付け焼刃に水だ。」
俺は気力をなくし、円が出て後ろの方にあった本棚に腰かけた
「...何を言ってるかわからない...が
わかったことはある。
お前は本当にどうしようもない木偶人形ということだ。」
俺の方をゴミを見るかのような目で見降してきた
誰だっていつだってそうだよ。
俺はどこの世界にいっても表だけいきって...
結果を残さないでいた...今回だって...
「...れに...俺にどうすれっていうんだよ!!!」
後ろにあった本棚に右手を拳に丸めてやつあたりした
すると本棚が前へ倒れてきて、下敷きになった
「...そこで少々頭を冷やせ。馬鹿者が」
そういいながらレイトリスの足音が遠のくのがわかった
それと同時に部屋の明かりも消え淡いものへとなった
「...なんで...なんで俺ばっかり...俺がなにをしたって...
そうか。今までのツケがまわってきたのか...ハハ...ハハハ。くだらねぇ...。」
俺は自分に覆いかぶさった本をどけ立ち上がった
「だっせぇな...結果いつもと同じ。死ねばいいのに。俺なんて...」
独り言をブツブツと呟き、部屋を後にしようとした
その時
「.....ん?誰かいるのか?ワンか?」
声が微かに聞こえた
『...を求む...』
部屋の奥から女性?のような声が聞こえる
声のする方向に進んでいくと
無数にある書物の中で黒い光が漏れている箇所が奥に見える
暗い部屋の中を無造作に歩いていく
所々本棚にぶつかりながら、目的の場所までついた
場所が高く俺の背じゃ中々届かない
ジャンプしてとろうとするにも全然届かない
俺は本棚にタックルし、もう一度本をぶちまけた
「...いってて...」
俺もそのまままた本の下敷きになった
立ち上がろうとした所で、右手の下に違和感を感じ目を移した
そこには分厚い黒い光を放っている本があった
「...なんだこれ?」
持って、開こうとした瞬間
頭の中に声が届いた
『汝よ。力を求める者か。』
な...なんだこれ!?
俺はビックリし本を下へ落としてしまった
『...汝は弱者の自分を憎むか?力が欲しいか?』
...俺は...俺は力がほしい
肉体強化だけではなく、絶対的に奈那を見つけ守る力を
「...しい...俺は力がほしい...!」
再度本を持った
『では、我を開け。そうすれば願いは叶う。』
俺は言われるがままにその喋る本を開いた
するとそこには...何も書いていなかった
「な...何も書いてないぞ。」
『選べ。魂を売ってまで力がほしいか 売る必要のない程の力か。』
俺は迷う必要がないと思い、大きな声で発した
「俺は...俺は!魂を売ってでもいい!
悪魔だろうが神だろうが!俺は力がほしい!奈那を守る力を!!」
するとその黒い光がより強くなり文字が浮かび上がった
「જે શક્તિ માંગે છે
ગ્રિમોર ના માલિક પર ભગવાન
હવેથી ભગવાનના માંસ, લોહી, આત્મા મારા જેવા જ છે
મારી શાણપણ અને તાકાત સમાન છે
ચાલો તે લોભી ઇચ્છા સાચી થઈ જાય
હવે ચાલો મારા પુસ્તકનું નામ બોલાવીએ」
(力を欲する者よ
我がグリモワールの所有者にて主
これから主の肉、血、魂は全て我と同じ
我の知恵、力もまた同じ
その強欲な願望を叶えてしんぜよう
さぁ我が書物の名前を呼べ)
「...ગોટિઆ...ゴエティアアアアアア!!」
(ゴエティア)
俺は無我夢中に書いていた内容を言葉にし、この本の名前が頭によぎり発した
すると本から黒と白の光が同時に出てきた
俺を包み込むようにその光は大きくなっていった
すると自分の足元にペンタクルのような魔方陣が描かれた
背中から左腕までが熱く、痛くなった
もっていたそのゴエティアと呼ばれる本を落としてしまった
「...痛い!」
どこからか少女のような声が聞こえた
俺は左腕を右腕を覆うように抱え、声のする後ろを向いた
するとそこには...
真っ裸で倒れている12歳ぐらいの少女がいた
「んもぉ...痛いんだけど!マスター!!」
俺は突然起こった自体に驚きが隠せずいた
え?...どういうことなの?
いきなり目の前には少女が出てきて...どういうこと!?
「えぇっと...どなたですか?」
俺は胸と下を手で隠す少女に問いかけた
「だ・か・ら!マスターと言っているじゃないですか!
私です!ゴエティアです!」
...どういうことだ?俺は頭が真っ白になった
さっきの声とも喋り方も全然違うじゃないか...
「あのぉ親御さんはどこかな?一緒についていくよ?
あ、まず服を着なきゃね。どうやってここに迷い込んだのかな?」
俺は半笑いしながら近寄った
「そうですねぇママとパパは...って違うわ!
さっきまで会話していた本です!本! ほら!ここに名前書いてあるでしょ!」
そういうと少女は自分の背中をくるっと周りみせてきた
≪ગોટિઆ≫
(ゴエティア)
背中にはこの世界の文字でゴエティアと書いてあった
「...本だったよね?お姉さんのような声だったよね?
喋り方も如何にもって感じの古風だったよね? え...え!?」
俺は混乱し、目の前の少女のほっぺたを優しくつねった
モッチモチだ...人の肌感だ
「や...びゃめて..くだしゃいよ...」
つねり続ける
「いや...ちょ...やめなさいってば!」
俺の胸を両手で押してきた
「急に欲望に溺れる人の声が久々に聞こえて、盟約結んだっていったのに!
私のことわからないで、もしかして盟約結んだんですか!?」
俺は頷いた あたかも知らないような顔をしながら
「はぁ...呆れた。世界に五冊しかないグリモワールの一つということもですか?」
俺は何を言ってるのかわからないという顔をしながらまた頷いた
「なぁーんでそんな人が私なんかを...ってここどこですか?
そういえば封印によって私は...」
「あのぉブツブツ話されるより、説明して頂きたいんだが...」
「そんな無知のお方に話すことなんてないです!」
プイと横を向かれた その時ゴエティアがくしゃみをした
んーどうしたらいいか。それより寒そうだし
俺の服着させるか。
「とりあえず、寒いだろうし、俺の服しかないけど...はい。どうぞ」
俺は上着を脱ぎ、ゴエティアに着させた
「...あ、ありがとうございます。それではまず貴方のマナを見ます。
話はそのあとです。私に近づいて下さい。」
俺は言われるがままに近づいた
「背が高すぎます。もう少ししゃがんでください。」
言われるがままにしゃがんだ
「では、始めます。 ...ちゅ」
俺は目を開きながら自分の置かれてる立場がわからなくなった
「うぉい!急におでこにキスをするな!!恥ずかしいだろ!!」
急に俺のおでこにキスをされた
「いちいち煩いですね。なんですか?初心なんですか?」
からかうような笑い方で俺を貶してきた
「俺は守るべき
「まぁそれはいいです。...ってえ?本当に貴方のマナですか?
...え?...何この量のマナは...」
自分の唇に自分の右手の人差し指をあて驚いている
「なにが?...俺なんて魔法適正だってないし、マナもないんだろ?」
不思議そうな顔をしながら俺の方を向きなおした
「貴方...いえ...マスター!これはマスターの相応しいマナ量です!!
魔法適正がない?...そうですか!関係ありませんよ!
だって、これから私が使えるようにするんですから!!」
少女は満面の笑みで俺に飛びついてきた
小さな胸があたっているのがわかる
相手が少女でも少々恥ずかしいな...
「んと...どいうことだ?お前が俺に?
そんなことができるのか??」
「何を言ってるんですか?私は彼のソロモン王により作られしグリモワール
ゴエティアですよ!魔法のことで出来ないことなんてないです!
まぁ詳しく話すと長いので、この暗い場所から出たいんですけど...」
俺らは無我夢中に話していて
ここがほの暗く話をする場所には不適切なのを忘れていた
「あ、悪い。移動するか。まずレイトリスにも見てもらいたいしな」
「レイトリス...?ってあの、レイトリス・アーヴァインですか?」
少女は部屋の扉まで近づいた時に足をとめた
「そうだな。なんだっけ?あのロードエルフ?とかいう生き残りらしいぞ」
少女は不穏な笑みを浮かべながら笑った
狂気のように
「アハ...アハハハハハハ!!この私を...私を封印した!
あの忌々しいレイトリスが...まだ生きているとは...
マスター少し...貴方の
そういうと俺の背中に手をつけた
「...今のマナだとベリアルぐらいしか出せないですか...
まぁ充分です。」
ブツブツなにかを言っていると魔方陣が足元に展開された
今まででみたことない魔方陣だ
ある程度この世界の魔方陣は似ているが、これはまったく別物に見える
「બોલાવવામાં આવે છે」
(召還 ベリアル)
魔法を告げると俺の体が一気にだるくなり、地べたに倒れた
「な...なにをした...おい。説明...しろ」
赤い炎が本や本棚を焼きつくしその炎から悪魔のようなものが現れた
3mは余裕で超える巨体で赤と黒の炎を身体に纏い
鬼のようなツノが二本頭から生え、背中には炎で出来た翼があった
「少々マスターのマナを借りました。忌々しい...レイトリスを殺す為に
殺したら戻るので、少々お待ちくださいませ」
そしてベリアルの右肩にのったゴエティアと悪魔が部屋の扉を破壊した
「キャハハハハハ!ベリアル!あの忌々しいロードエルフを殺すのです!」
「グォォォォァアアアアアア」
ベリアルの咆哮の様なものが聞こえベリアルはレイトリスを探しに行った
「や...やめろ...」
俺は這い蹲りながら前を進んでいった
「にしてもあの愁はネガティブすぎる。
本当に鬱陶しいな。見ててイライラする...
それよりなんだこの音は?どこからだ?」
レイトリスは屋敷の庭で紅茶のようなものを飲んでいた
そのカップは小刻みに揺れ、時間がたつにつれ揺れが大きくなっていった
ドゴォォン
屋敷の壁が破壊される音が聞こえた
「な...なんだ!?あの炎は!!
...って...あれは...まさか!!...ベリアル!?」
レイトリスは即座に席から立ち上がり、何もない所から杖を出した
「おい、ワン!...ちっここは屋敷外か...
おい!お主もしや...ゴエティアだな?」
ベリアルの方向に声を荒げるレイトリス
「そうよ!この忌々しきロードエルフ!!あの時に死んどけばよかったものを...
500年前と同じだと思わないでね!」
そういうとベリアルはレイトリスの方に赤と黒の炎の球体を口から飛ばした
「な..なぜ今が500年の月日がたっていることを...
しかもどうやって...まさか.....!?」
「そうです!愁様のおかげです! 愁様と今リンクしたことによって
今の時代のことをある程度は把握しています!」
舌打ちをしながらレイトリスは攻撃を避けていた
「ちっ...未だマナが癒されていない中での戦闘...
しかも72柱の魔人...その中の七天魔王が一人ベリアルとは...
面倒なことを...」
レイトリスが手に汗を握り攻撃をかわしている中で
魔方陣を構築していた
「私は光魔法は不得意でね。ただ、グリモワールを操るのは私も同じだ!
...我に呼応せよ! અર્સ નોવા!」
(アルス・ノヴァ)
杖が青と紫色に光り輝いた
すると杖は分厚い本に変身した
「પવિત્ર આત્મા બનો. ઓન્ડો સાન રેને તાકાત આપો」
(慈愛なる精霊よ。恩方様の力を授けよ サン レイ)
太陽の下を無数の光の槍が召還され飛翔している
「貫けえええええ!!」
レイトリスが叫んだ瞬間無数の光の槍はベリアルに向かって落ちて行った
「グァォォォォオォォ」
ベリアルは空に向け右手から黒炎の渦を出した
「無駄無駄!!マスターのマナから生成されたベリアルは以前より強い!!」
そしてベリアルが無数の槍を消した後レイトリスの方を向き進み始め
左手の手の平を開き炎が形成されていく
「...馬鹿が...やめろぉぉぉぉぉ!」
穴が開いた壁からダッシュしレイトリスの前まで行こうとする愁
間に合え...間に合え...俺には誰も救えないのか...
そんなの嫌だ!!間に合えええええ!!!
その瞬間にジャンプし、レイトリスを抱き抱えた
ベリアルが炎を出そうとしたが動きが止まった
「...ちっベリアル。もういいです。
帰って下さい。」
ゴエティアがベリアルの頬にキスをした瞬間魔方陣が展開されベリアルは消えた
「...72柱の魔人も私もマスターには傷をつけることができません。
マスターに救われ...ました...ね。」
そういうとゴエティアも倒れた
「本当に厄介な事になったな...」
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