3話 力で制す者 人脈で制す者 side:奈那
【side
「それでは最後に私ですね。
名前はネイルリア・シュヴァリエと申します。
種族は...天使です。」
天使と言った瞬間みんな飲んでいたり食べていた物を全て吐き出した
[[[[はぁ!?天使!?]]]]
あまりもの驚きによってレオさんとジャラン以外全員立ち上がった
「て...天使族って...こちらに降りてきて宜しいのですか!?」
白ワインの入っているグラスが震えるぐらい驚いているクリスさん
天使ってでも確かに神様のところにいるのが普通なんじゃ...
「そ、そうよ!
しかも地上に降りた天使達は千年前の
天使と人族側と悪魔と魔族側の聖戦が終わった後ヴァルハラに帰還したって」
同じく赤ワインの入っていたグラスが震えてるサラさん
「そうですね。聖戦は激しいものでした。ただ...私は悪魔に破れ
神にも見放され地上に堕天してしまったのです。
唯一の救いは、
女神様が哀れみと慈しみによって私に加護を授けて頂いたことですかね。」
そういうとネイルさんは飲み物を口にした
「なので、今はただの人族の
「な...そうなのね。ま...まぁ天使がこちら陣営にいるのは嬉しい...けど」
「何も気にしないで頂いて構いません。地上は地上で楽しい所ですからね」
そういうとネイルさんは心なしか少々笑みを零した
「ま...まぁ天使様がおるのじゃから。魔族なんて余裕じゃ!」
アーロックさんはそのまま席につき再度お酒を飲み始めた
「まぁ俺っちは天使だろうが悪魔だろうが仲間ならどうでもいいけどよ」
食べ物を食べながらジャランは告げた
「そうですね。見っとも無い姿をお見せして申し訳御座いませんでした。」
クリスさんも座り、それを見ていたサラさんも座りなおした
「お伝えした通り私は聖神官戦闘向きでは御座いません。
後衛により、皆様の回復と支援、それに神へのお祈りしかできません。」
少々暗い表情になりながら皆の顔を伺っている
「それでいいじゃないのよ!私一人で回復なんて、御免だわ!
むしろ私は攻撃魔法に特化してるのよ!時空魔法も使うし
あまりマナは使いたくないしね!持ちつつ持たれつつよ!」
ネイルさんの方を向きながらフォローをするサラさん
「優しいのですね。有難う御座います。」
「回復 重要 ネイル 必要だ」
レオさんもフォローしている
皆本当にいい人達なんだなぁ
「これで全員の自己紹介が終わったのかな?最後に姫お願いしてもいいかしら?」
サラさんが最後に私に自己紹介を求めた
「あ...はい!名前は存じているかと思うんですが
古美長 奈那といいます!元の世界ではキャバ嬢をしていました!
あ...こっちの世界だとなんていうんだろう...んー遊女?違うなぁ」
そんなことを言うとアーロックさんが割ってきた
「自分の身体を売っていたのかい?」
「そ...そんなことないでs...んーでも間違っては無いんだよなー
難しい!...あ!お酒を一緒に男性と飲んで、楽しんでもらったり
ビジネスパートナーと来てもらって、こちらが接待したりとか!
まぁ基本お酒だから身体は張る事がメインかなぁ?」
私は自分のグラスに入ってる飲み物を飲んだ
「成るほど。
では、基本的には座談や接待が主な内容だったということでしょうか?」
クリスさんがグラスを置いて私へ質問をしてきた
「そうですね。ただ基本お酒を飲んで飲ませて相手の人にお金を使って貰う
それが仕事内容ですかね!」
私は笑いながらクリスさんの質問に答えた
「...大変ですね。男性の方から申し出などないのですか?」
「んー普通にありますよ?ただ、そんなん日常茶飯事というか...
身体求められることや付き合ってほしいとか、家にずっといてほしいとか
稀に仕事場でいい条件で雇いたい!だから一緒に働かないか!とか」
私は思い出し笑いをしながら、話していた
「嬢ちゃんはその仕事は楽しかったのかの?」
「んー生きるためには必要でしたからね。一人のクズのせいってのも
それだけじゃなく、家族が嫌いでしたからね。
一人で生きていくためにも、お金が必要だったので。
高いお給料貰えるのであれば苦では無かったですね」
「姫キューリョーとはなんなの?」
ジャランが不思議そうな顔でこっちを見てきた
「あ、そっか。お金のこと!ある程度働いた日数で
一気に貰えるお金のこと!」
「あぁ報酬ってことか。なるほど!ありがとう!」
「報酬?...逆にわからない...。」
次は私が不思議そうな顔をしながら考えた
「報酬とは、クエスト等をこなし得れるお金のことです。
ギルドや町長や村の長、又は王族から貰えるのです。
例を出させて頂くのであれば、
モンスターを退治した時や、ペットを見つけた時です」
「へぇ。そんな簡単な内容でお金貰えるんだ」
「そうですね。一般では冒険者といいます。
他にも普通に宿を営んだり、料理屋を営んだりと
そちらの世界と同様の職業も御座います。」
丁寧にクリスさんに説明して頂いた
「まぁ嬢ちゃんも色々あったみたいだが、
ここにいる全員も色々あったからの。気持ちはわかるんじゃ」
アーロックさんが哀愁漂う顔をしてきた
陽気な人もお酒にはやっぱり負けるよね。
何処の世界も同じか
「さっ今日はもう遅いし皆で寝よ!
じゃ、姫は私が連れてくね!」
サラさんが仕切ってくれたおかげで、重たい空気にならず済んだ
見習わないとなぁ...
そして、みんな私に挨拶をしてくれた
その後自室に戻っていった
「サラさんはなんで英雄王になったんですか?
...というか英雄王ってなんですか?」
「あ、そっかまだ話してないね。
英雄王っていうのはね。なりたくてなるわけじゃないの
これ見える?」
私の部屋の前で止まって、白い手袋を取り右手の甲を見せてもらった
「...綺麗ですね!」
そこには赤い色の線が引かれてる六芒星のような絵に丸い円が引かれている
「有難う!これはね、英雄王の証っていって
唐突に女神様から授かるものなの。
突然身体の一部にこの紋が浮かび上がるのよ。」
白い手袋を履きなおしまた足を前へ進めた
「そうなんですね。どういった意味なんですか?」
「そうね~。簡単に言うと世界に危機が訪れるタイミングで選べるんだけど
その選ばれた五人でパーティを作って世界を救うみたいな?」
そんなことを話していると私の部屋に着いた
「じゃ、私も自分の部屋に戻るわね!」
後ろを振り向いて歩こうとしたサラさんに声をかけた
「あ!...あの...烏滸がましいとは思うんですけど...
今日一緒に寝て...くれませんか?」
恥ずかしい...ただ一人で寝れない
元々ずっと愁が隣にいて寝てくれてたし
私が起きた時も基本一緒に起きてくれてたし、急に独りは...
「あら...可愛いところあるのね。いいわよ!
別に断る理由なんてないし!むしろ大賛成!」
サラさんはびっくりした後に満面の笑みで私に抱きついてきた
「あ...ちょっと!サラさん!恥ずかしいです!」
「だって妹みたいなんだもん!!」
そういいながら私の部屋に入ってきてくれた
クローゼットの中にあった部屋着のようなものに着替えた
「サラさんは着替えなくていいんですか?」
私は窓の外を見ているサラさんに問いかけた
「ん、あぁ...そうねぇ。何かあるかしら?
自室戻るのも面倒くさくてね」
アハハと笑いながら私にお願いをしてくれた
「あ!ごめんなさい。気が利かなくて」
「そんなことないって!あ、その服借りていいかしら?」
サラさんはクローゼットにかかっていたレース付きの部屋着に着替えた
「サラさん...大きいですね!いいなぁ」
胸の大きさが際立つ部屋着に着替えたサラさんを見ながら
キラキラした目をしている私
何気私楽しんでる?
「まっそうね!どうよ!...と時間も時間だし寝ようかしら?」
「あ、そうですね。ごめんなさい。 明かり消しますね。」
「あ、大丈夫よ!これ魔法じゃないと消えないから」
そういうと左手の人差し指でチェックをするような動きで
シャンデリアの明かりを消した
「それでは、姫のベッドの隣...失礼しまーーす!」
そういいながらベッドに入っている私の隣にダイブしてきた
「サラさん危ないですってば!
というか...姫ってやめて下さい...なんか...恥ずかしいというか」
サラさんはまたびっくりしながら、横になりながら私の顔を伺っている
「フフフ...わかったわよ。じゃ、奈那って呼んでいいかしら?
そのかわり奈那も私のことサラって呼んでね?
後敬語禁止!!」
私の口に左手の人差し指で押さえられた
男性ならイチコロじゃないの!女子力高すぎ!!
「...うぅ...気が引けますが...あ...。
わか...ったよ。 サラ」
「んもぉ可愛い!このこの!」
頬ずりされながら抱きしめてくれた
「色々と覚えること多いし、大変だよね。
本当にごめんね。私達のせいなのに勝手に背負わせちゃって。」
「そんなことないよ...大変なら助けたいし
ただそんな力私には...」
「あるわよ。充分。皆のことしっかりと見ているじゃない。
それだけでもすごいわよ?別の世界から来たのに
普通の人ならムリだもの」
そういいながらフォローしてくれた
サラの胸の中は落ち着く。優しいお姉ちゃんがいたらこうだったのかな。
「さっ寝るわよ。おやすみ!奈那」
「おやすみ...サラ」
その日初めての異世界で初めて眠った
朝の日差しの強さで私はサラより先に起きた
サラは寝た時とはまったく逆の方向を向きながら寝ていた
毛布も肌蹴てる
「もう...お姉ちゃんなんだが、妹なんだか。」
クスクス笑いながらサラを起こさないように毛布をかける
そのまま私は起きて着替えを持ってお風呂に入りに行った
大きな浴室...というか浴場だなぁ
と一言を呟き着ていた下着と服をたたみ浴場に足を運ぶ
「...あら、早起きなんですね。
ゆっくり眠れましたか?奈那様」
蒸気で中々見えないけど、うっすらとネイルさんの影が見える
「おはようございます。 寝れましたよ!
お気遣いありがとうございます。」
そういい終わった後、頭を洗いに浴場の椅子に腰をかけた
「今日から色々と大変ですが、心配ありません。
私達英雄王が奈那様を守りますので。」
「ありがとうございます。
ただ英雄王って本来五人でパーティ組みながらですよね?
というかパーティってなんですか?」
頭を洗い終わり、身体を洗いながらネイルさんに素朴な質問をする
「英雄王についてどなたから伺ったんですね。勉強熱心です。」
「あ、昨日サラと一緒に寝たので!そこで聞きました。」
身体をお湯で流し終わりネイルさんの声が聞こえる方に歩み寄り
「あら、もうそんな仲良いのですね。本当に人見知りしないんですね。」
「人見知りしたらキャバ嬢なんて務まらないんで!」
「キャバ...ジョー?」
不思議そうな声が聞こえた
ネイルさんの顔がハッキリ見えて、隣に腰をかけた
「あ、そっか。昨日話した職業です!」
「あ、そういうことですか。失礼致しました。」
「いやいや!謝らない下さいよ!」
私はテンパりあたふたした
「フフフ。本当に優しいお方なんですね。
話を元に戻しますが、仰って頂いた通り基本的には今までの歴史上では
ですがね。」
「今まで?今回と今までで違うんですか?」
「そうですね。今回は歴史上に例を見ない程危険です。
魔族の説明は昨日大方したかと思うのですが...」
魔族については昨日ご飯を食べている前に、ある程度聞いていた
ゴブリン、リザードマン、インセクト、悪魔とかだっけ?
「その魔族にも色々な種類がいるのですが、
その魔族を統括する悪魔族の王が現れると予言がありました。名をサタン」
サタン?聞いたことあるなぁ
よく映画とかでも出てるよね?こっちの世界とあっちの世界って
類似してるところが少々あるのかぁ
「サタン...?悪魔の王様ってことは結構強いんですか?」
「はい。今までは魔族の王といってもゴブリンキングやリザードキング
インセクトクイーンなど
英雄王五人の力を使えばなんとかやり過ごしてきました。
過去に英雄王が誕生したのは、五度。今回で六度目になるそうです。」
今までで五回で今回で六回
その都度そんな強敵と皆戦ったんだ...って最後に現れたのいつだろう?
「最後に英雄王が誕生したのっていつなんですか?」
少し間が空いた後にネイルさんが口を開いた
「...およそ5年前です。」
え?5年前ってことは...
「5年前ってことは、その人達まだ生きてますよね?
なんでまた新しい英雄王が...」
するとネイルさんは寂しげな顔をし、俯いた
「ご想像通り英雄王はその時代に生き残っていれば
引き続きそのパーティで戦います。
ただ、オークキングは...かなり手ごわく英雄王の三名が相打ちに...」
「三人ていうことは残り二人は生き残っているんですか?」
私は聞いていいかわからなかった。
ただ、今後私も同じ戦場に出るわけだから少しでも情報がほしかった
「はい。生き残ってます。一人は私です。そして...もう一人は...
ロードエルフ。エルフの王族の生き残り レイトリス・アーヴァイン
彼女がそのもう一人です。 ただ...」
初めて聞いた名前だなぁ
ってロードエルフってことはクリスさんのご先祖様!?
「今は行方不明なのです。エルフ王国から追放され...どこにいるのか
同じ死地を潜った私にすら連絡が来ないのです。」
寂しげに語り続けた 申し訳ないなぁ
「あ...ごめんなさい。本当に気遣いできなくて...」
「仕方ありませんよ。ただ、彼女はサタンが産まれるまでに仲間を作るとは
会った最後に言っていました。 ただ何をしているのか...」
「そうなんですね。それじゃそのレイトリスさんも一緒に探しましょう!」
あれ?そしたら、レオさんとかジャランは...
「レオさんとかジャランは...一体...」
「そうですね。レオとジャランはあくまで、護衛です。
聖女奈那様をお守りするだけに呼ばれた獣人王からの遣いです。
いわば、聖女親衛隊というところでしょう。」
あ、だから格好が一人だけ鎧を着ていたんだ!
「なるほど...」
「話しが長くなってしまいましたね。稽古の前にのぼせると
元も子もないので、あがりましょう。」
私は話に夢中でお風呂に漬かっていることすら忘れていた
立ち上がり前をタオルで隠した
「はい。お願いします。」
私は一礼しネイルさんはニコっと笑みを零した
二人は脱衣所に向かい身体を拭き衣類に着替えた
その後全員起きてきて、朝ごはんを食べた
そしてレオさんを除いた皆さんの後についていき
倉庫?のようなところについた
「まず姫には剣術を覚えていただきます。ただその前に
武器を揃えます。
ここには世界各国の種族で有数の鍛冶師が作った武器があります」
クリスさんが先導し丁寧に教えてくれた
「勿論儂が作った武具もあるぞ!ガハハハハ」
アーロックさんが自慢げに笑いながら自分の武具を持っていた
「そうなんですね!それなら、是非アーロックさんの武器を使いたいです!」
「おお!いいところに目をつけるな!嬢ちゃん!まぁでも
まず筋肉がないと儂の武器はムリじゃな。」
「...そうなんですね。折角ならと思ったんですが...」
悲しんだ私をみてアーロックさんがフォローしてくれた
「そ、それでも!成長したら使えるかもしれんし
よければその時にお願いするかの!」
私はキラキラした目で頷きながらお願いしますと言った
色々と武器をみていると奥に古い箱をみつけた
「なんですか。これ?」
「んー奈那。これはね。一年前に調査団が拾ってきた代物
誰が触れても剣が抜けないのよ」
サラが後ろからヒョコっと出てきた
「なんで?一回あけてみていい?」
そう言いながら木箱を開けた
錆びた白い鞘に入っている剣が出てきた
大体私の足と同じくらいの長さかな?
「姫。これは神器と言います。
神器というのは、神を殺せる程の力を持っている
誰が作ったのか誰がなんの為に用意したのか未だ解明されていない武器です。
そして神器は持ち主を選びます。
無論持ち主の者が神名を口に出さない限りなんの神器かわかりません。」
サラの後ろからクリスさんがついてきて説明してくれた
本当に物知りだなぁ
ただ...なんかこの剣
「...泣いてる?...ねぇサラこの剣泣いてない?」
サラは驚いた顔で私の両肩に手を乗っけた
「えええええ!?奈那今なんていったの!?」
わけがわからない。感じたんだよなぁ。
「ん、泣いてるように感じたの。箱を開けた瞬間」
アーロックさんもクリスさんの後ろから小さい身体で乗り出してきた
「嬢ちゃんその神器と呼応しているかもしれん。
因みにどういう風に感じたんじゃ?」
キラキラとした目で私に問いかけた
「んとー主人がいなくなって、泣いてる...みたいな?
わからないですけど」
自分で何言ってるかわからず恥ずかしい
「奈那様。もしよろしければその神器の鞘を持って剣を抜いてみては?」
ネイルさんが私の前まできて、木箱を取り剣を私に渡してきた
「あ...はい。では...」
ガ...キィィィィィィィン
甲高い音と共に鞘についていた錆が消えた
そのままの勢いで私は剣を抜いた
するとその剣は青白い光を放った
眩しくて前が見えない
「こ...これは!?やはり嬢ちゃんと呼応しておる!
神器は持ち主の手に渡った瞬間呼応といって
神名がわかり本来の力を戻すんじゃ」
私はこの剣を抜いた瞬間名前が頭の中に巡った
「...એક્સેલિબુર」
(...エクスカリバー)
「奈那様...今なんと!?...もしかして...」
「...એક્સેલિબુર...エクスカリバー
この神器の名前。 エクスカリバーだよ。」
[[[エクスカリバー!?!?]]]
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