第2話 大魔力比べ祭り

 転生設定を終え、エンターキーを押すとなにやら足元から光が現れ、私はその中に吸い込まれた。

「え、、、何この光、、、」

正直怖い。すごく怖い。

まぁ私は死んでるから。扱いは雑でもいいんだけどさ?もうちょっと説明しようよ。ね?説明あったの「転生設定を行います」だけとか酷くない?誰でもパニくるでしょこんなのさぁ。

 いやいや、だがしかし。私は普通の人よりも転生モノというか、異世界モノを生前たくさん読んでいた。だからこうゆう意味不明な展開には多少なりとも免疫がある。

とかいろいろ考えているうちに、私の周りから光は消えていった。たどり着いた場所はというと、、、

「現代、、?」

 そう、なんとごく普通の現代日本だったのだ。

 なんだろう、こんなこと言うのは失礼なんだろうけど、変わらなさすぎて残念というかがっかりというか、なんか複雑だ。

やっぱもうちょっとファンタジーな場所にしとけばよかったかな、、せっかくの二度目の人生だし。

 まぁこの場所を選んだのは私なんだけど。それにしても、ここは”魔法の現実”って書いてあったけど、どこらへんが魔法なんだろう。魔法のように平和、とか?けどそれなら夢の現実てのが一番あってるよなぁ、、、。

 そう思った瞬間どこからかものすごい爆発音が聞こえてきた。次いで聞こえてきたのはたくさんの歓声。けっこうすごい爆発音だったと思うけど、私の周にいる人たちは気にしている素振りがない。はて、どうしてだろうか。これは見に行ってみるしかない。


 さて、さっきの爆発音はどうやらここらへんからのようだ。いったい何が繰り広げられているんだろうか。少し歩いていると、掲示板に「大魔力比べ祭り~集え、強者たちよ!!~」という張り紙が貼ってあった。

少しいやな予感がするが、行ってみるしかない。そう思い、足を動かそうとした瞬間、突然すごい力で肩をつかまれた。

「うわっ」

驚いて振り向くとまさに陽キャの象徴のような、とにかく元気そうな女の人が私の肩を掴んでいた。

「突然ごめんね!私は蒼井遙あおい はるかという者なんだけど、君、なかなか強い魔力をもってるね?」

「は?」

あーもう、やっぱりなんか絡まれたし!

え、なによ魔力って!?私そんなの知らないんだけど!!?

「いや、あの、私はごく普通の女子高生で、、、」

何も知らないんです。そう言いかけたところで気がついた。

もしかすると、魔法の現実の”魔法”というのはこれのことなんじゃないだろうか。ありえる。おおいにありえる。だいたい無償でこんな平和なところにこれるという時点で間違いなんだ。私のような一万歩譲っても面倒なことになるのは嫌だけど回避するために努力するのも嫌だっていう、そんな人間が極楽浄土に行けるはずなんかない。どうしてそんな簡単なことに気がつかなかったんだろう。

「あ、やっぱちょっと待っててください。」

そう言ってから後ろを向いて自分の手に向かってなんとなく「出ろ!」と言ってみる。何が出るのかわからないけれど。

何回か試していると、青白い炎がボッという音を立てて私の手から出現した。

すると私の後ろから遙さんがひょこっと顔を出し

「ほーらやっぱり!」

と、無邪気に笑った。たったこれだけで魔力とやらの強さが分かったのか。この人何者なんだろうか。

「さて、もう分かってると思うけど、大魔力比べ祭り、参加するよね?」

やれやれ、この人、結構人の足元見て話を進めるようだ。この状況でノーと言える日本人はなかなかいないだろう。

「、、、分かりました。参加します。気が進みませんけど、、」

「そうこなくっちゃ!!あ、はいこれ参加用紙ね!」


こうして、半ば強制的に私は大魔力比べ祭りに参加する事になったのだった。

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