第1話 転生

さっきから、鳥の鳴き声のようなものがずっと聞こえている。死んだんだから、天国に無事に行けた、という事だろうか。

しかし、もう目を開けるのも億劫だ。夜更かしした次の日の朝のような眠気。とても目を開けられそうにない。

すると突然、目を閉じていても分かるような明るい光がびかーっと容赦なく私の眠気を吹き飛ばして行った。

もう仕方が無いので強制的に目を開ける。

私の目に真っ先に飛び込んできたのは青い半透明のタッチパネル。スマホのような板状の物体から、ホログラムのように映し出されている。

「何これ…転生設定……?」

そこには、「今から転生設定を行います。ご希望のものに触れてください。」と書かれており、どうやら種族、性別、名前、転生場所などの細かい設定ができるようだ。

どう考えても怪しいけれど、今はこれに従うしかなさそうだ。周りを見ても、見渡す限りの原っぱが広がっているだけ。人など住んでいなさそうだ。


「えぇーと、まずは種族かな。」

種族には、人間、巨人、妖精、魔神、天使、などの大体は想像がつく、分かりやすい種族の他に行使人、精魂人などのちょっとなんの事か分からない種族まで色々ある。

面倒ごとは嫌いなので、ここは無難に一番平和そうな人間を選んでおく。


次は性別。これはもちろん女にした。男なんて真っ平御免だ。


次に名前である。

これは結構悩む。そのままでもいい気がするけど、折角転生するんだったら変えたいし…

さんざん悩んで、結局変えることにした。名前は昔から好きだったアニメの主人公の名前を頂くことにする。

「荻原零っと。」

名前の由来が2次元なのはちょっとあれかな、と思いつつ、これ以上いい名前が思い浮かばなかったのでこれにした。


最後は転生場所。

これが最も重要な決断だ。多分。てかそもそも転生って今の記憶を留めたままするんだろうか?それとも普通に記憶は無くなるんだろうか。まぁどっちでもいいや。今は場所の事を考えなきゃ。

選択肢としては、牙狼の谷、魔物の大国、天界、魔界、魔法の現実。この5つだ。

天界を選ぶのが妥当かもしれないけど、種族は人間で決定してしまった。牙狼の谷と魔物の大国は速攻で食物連鎖の餌食になりそうなので却下。

残るは魔界と魔法の現実だが、魔界は明らかにヤバそう。魔法の現実もなんかいろんな意味で怪しいし、これだけ情景が全く思い浮かべられない。もういっその事転生しないってのはナシなんだろうか。

多分それはナシだと思うので、一番平和に暮らせそうな魔法の現実にしよう。ここなら、なんとか生きていける、かもしれない。

もうここまで来たらあとは神かなんかに願うしかない。

神様、どうかいい場所でありますようにっ……

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