転生先が選択制だったので魔法の現実ってとこに転生してみた。

優華

プロローグ

垣原絢16歳。

普通のJKやってます。

ただし、今日は朝から凄く運が悪い。ありえないほど悪い。

制服のボタンかけ違えたまま駅向かうわ猫に引っかかれるわ階段で足くじくわ、もう散々である。

というわけで、朝から散々な目にあっている私は今から現実逃避をしたいと思う。何をするのかといえば、そりゃあもちろんケータイ小説を読むのだ。読みやすいし、すぐにやめられる。こんな日には異世界ものか、恋愛モノか。この2択しかない。

そうして電車に揺られること約15分。学校はもうすぐだ。ここでいつも通り花音達と合流、と思っていたが…

なんと、私のところに向かって車が突っ込んできたのだ。

全身に鈍い痛みが広がる。私の目が、唖然としている花音達を捉える。

ああ。

運が悪いとは思っていたけど。

まさかここまで悪いとは。

「絢!!!?」

「どうしたの!?大丈夫!?」

いや、大丈夫なわけないやろがい。

けどまあもうみんな号泣してるので心配してくれてるんだろう。

「花音……悪いんだけど、私の机の中身、全部、捨てといて……」

「え、なんでよ!?」

そりゃあ疑問だろう。誰も私が趣味で絵描きまくってることなんて知らないんだから。

「頼ん…だ…よ…」

もう、意識が途切れそうだ。

まさか遺言が机の中身捨てといて、になるなんて思ってなかったなあ。もっと感動的な事言って死にたかったな。

ま、でも仕方ないよね。

垣原絢16歳。

本日をもって私は、16歳の短い短い人生を終えます。

さよなら、家族。

さよなら、皆さん。

さよなら、私。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る