第4話 この国の真実

目の前にいる美少女らは自らを家のペットと名乗っていた...



「お前らなんでここにいるんだよ⁉︎いや、その前になんで人間の姿なんだ⁉︎」



ツッコミどころが多すぎて理解が追いつかない。そんな俺の脳は、次の一言でショートした。



「私とラビは元々、この国の住人なのです」



俺はその一言で撃沈した。俺が飼っていたのは動物ではなく、この国の獣人だったのだ。でもそれなら、一つの疑問がでる。



「待て、ならなんで河川敷で捨てられてたんだ?」


「それはあの河川敷が、異世界とのゲートだったからです」



ちょっと待てぇぇぇぇ‼︎俺は驚きを隠せなかった。異世界ってそんなに簡単に行き来できるものなのか⁉︎コンビニ感覚で行けるものなのか⁉︎


驚いている俺をよそにハナは話を続ける。



「私とラビの故郷は、この国での人間との戦いで失いました。私達の両親も人間に殺されて帰る場所のない私達は、ただひたすらに歩き続けました。気を失ってしまったのか、

目覚めると私達は河川敷にいました」


「そこを俺に拾われたと...そういうことか」


俺はこの国の現状がわかった気がした。この国を支配してたのは動物じゃない...人間だったんだ。この国の獣人達は、ただ自分の国を守っただけなんだ。俺は自分がどうしたらいいのか分からなくなっていた。



「人間の俺に...勇者になる資格なんてない」


「そんなことはございません‼︎」



ハナはそう言うと、俺の手を両手で握った。



「私は...いえ、私達はあなた様のこの手で救われました。あなた様は、行き場所のない私達に手を差し伸べてくださいました‼︎」



ハナは泣きそうになりながら俺の手を強く握る。



「あなた様は、私達にとっての勇者です‼︎」



美少女にここまで言わせるなんて、本当に俺は勇者失格だと思う。けれど、



「ありがとな、ハナ。俺は勇者になるよ、

この国の動物と人間が共存できる社会にするために‼︎」



俺は決意した。必ずこの国を変えてやると、人間も動物も笑顔で暮らせるようにすると。



「やっと明るくなった、ご主人様」


「心配かけて悪いなラビ」



この国での俺は完全に悪役だ。だけど俺は決めた、



この国の勇者になると。

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