第3話 委員会決め
僕たちは8時45分に学校につき、遅刻には当然ならなかった。
今日は1限目に委員会を決めるらしい。2日目でもう決めるのか、と少し早いなと思っていたがどこの高校でも同じなのだろうか。
大江君と話したりしていたらチャイムが鳴り、先生が来てHRが行われた。
内容は特に大したことがなく、時間が余ったので少しそのままの流れで1限目が開始された。
「えー、今から委員会役員を決めようと思います。本校では、委員長、副委員長、図書委員会、保健委員会、体育委員会、美化委員会、風紀委員会、選挙管理委員会の7つあります。
では今から3分ほど時間をとるので、どうしてその委員会に立候補したのか、意気込みを聞きたいと思うので考えてください。」
今の説明では言われていないが、
昨日配られた紙によると、
委員長が男子なら副委員長は女子、またはその逆。
その他は男女各1名ずつらしい。
「んー、藍斗なんか立候補するー?」
「誰も立候補しなさそうなのあったらするかな」
「そうかぁ。俺はどうしよっかなー」
「なんなら委員長とか立候補してみたら?」
「いや流石に俺には向いてないわ。人と話すの苦手だし」
「え」
一瞬なに言ってんだと思った。
いや、だって初対面なのにすごい距離感近かったじゃん?僕なんて よろしく って言われて うんって答えるレベルなのに…。
「でも昨日大江君から話しかけてきたじゃんかー。
あ、僕のこと人と思ってないとか?」
「いやーあれはなん」
「はい。では決めましたかー」
冗談めかしく話していると3分経ったらしく、先生は話している人達の注意を集めるためにかパンパン、と2回手で叩きながらそう言った。
…なにを言いかけたんだろうと多少気になったが、
それよりも少し感心したことがある。
それはまだ2日目なのに、もうみんな席の近い人同士で話をするようになっていたことだ。
正直、大江君みたいな人って珍しいと思っていたけど、案外普通なのかな。と少し自分のコミュニケーション能力の低さを感じていた。
「ではまず委員長を決めたいと思います。立候補したい人、挙手してください」と先生がいうと、眼鏡をかけていて頭の良さそうな男子が手を挙げた。
「じゃあ、村上君。前に来てください」
「はい」と言い、眼鏡男子が教卓の前に立つと、スピーチが始まった。
「こんにちは。15番の村上雄二郎です。僕は中学生の頃、生徒会の会長をしておりました。委員長と生徒会では役割が違いますが、今までに得てきた経験を生かせればと思い、立候補しました。以上です。」
パチパチパチ——とクラスのほとんどが拍手をしたので村上君で決まりのようだ。
「では次に副委員長に立候補する方ー」
今度はショートカットでスポーツをやっていそうな女子が手を挙げ、前で演説をするよう促された。
「えっと、私は23番朝倉春海です!行事などでみんなと盛り上がりたいなと思ったので立候補しました!よろしくおねがいします!」
と、短かったが元気いっぱいの演説だった。
こちらもほとんどの人が拍手をしており、朝倉さんが副委員長で決まった。
その後、先生は二人に進行を任せて、残りの委員会の役員を決めるよう指示した。
「では順番に決めていきたいと思います。図書委員——」
——そうして全ての委員会が決まって、この時間は終わった。
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