第83話 謎解明の手掛かり

 二度とも同じように呪文を唱えたつもりなのに、その効果がなんでこんなに違ったのか?


 あっ、そうだ!

 ステータス!

 冒険者カード使えばいいんじゃないの!?


 標的にする岩を選び、その前に立つ。

 左手に冒険者カードを持つと、白い文字でステータスが浮き上がる。

 カードの角度を変えても、なぜか白い文字は同じ位置に表示された。

 これって、なにげにハイテクじゃないか?


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名前:クロダグレン

年齢:16

レベル:49

職業:無し

犯罪歴:無し

装備:無し

スキル:【言語理解】、【言語伝達】

ユニークスキル:【中二病(w)】(レベル5)

  派生スキル:【ファッション(虚)】(レベル2)

  派生スキル:【ポーズ(痛)】

称号:竜の落とし子

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 あれ?

 昨日スキルを見た時、派生スキル【ファッション(虚)】の後ろについていた「*10」という表示がない。

 とにかく呪文を唱えてみる。


「ぶっ飛べ!」


 ゴンッ


 三メートル近い岩がゆっくり倒れる。

 これは、最初のパターンと同じだったな。

 ……あれ?

 左手が右腕に触れると、「*10」という表示が現われるみたい。

 冒険者カードを握ったまま、左手を右の上腕部に置く。

  

 まちがいない、「*10」という表示が現れた。 

 ただ、それは【ファッション(虚)】ではなく、【ポーズ(痛)】の後ろに表示されていた。

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ユニークスキル:【中二病(w)】(レベル5)

  派生スキル:【ファッション(虚)】(レベル2)

  派生スキル:【ポーズ(痛)】*10

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 もしかして、左手で右腕に触れることが、【ポーズ(痛)】というスキルの発動条件なのかな? 


 とにかく、それで試してみるか。

 左手で右の上腕部を握り、呪文を唱える。


「ぶっ飛べ!」


 ゴッ、ドゴンッ


 おー!

 ふっ飛んだ岩が、崖にめり込んでる。

 やったぞ、二度目の呪文と同じ結果が出た!

 もしかすると、「*10」というのは、威力が十倍という意味かもしれない。


 この時、俺はなにか分かった気になっていたが、それが大間違いだとすぐに思い知らされることになる。

 

 ◇


 気をよくした俺は、次の実験に取りかかった。

 昨日買った、黒い包帯を右手に巻く。

 銀色の魔法陣が、右手の甲にある魔法陣と重なるようにする。やっぱり、ここは、こだわらないとね。

 ステータスを見ると……。


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ユニークスキル:【中二病(w)】(レベル5)

  派生スキル:【ファッション(虚)】(レベル2)*10

  派生スキル:【ポーズ(痛)】

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 やったね!

 やっぱり、右手に黒い包帯を巻くと、【ファッション(虚)】に「*10」がつくんだ。

 このまま、左手を右腕に載せると……。


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ユニークスキル:【中二病(w)】(レベル5)

  派生スキル:【ファッション(虚)】(レベル2)*10

  派生スキル:【ポーズ(痛)】*10

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 ほうらね!

 予想通り、【ファッション(虚)】と【ポーズ(痛)】両方に「*10」が付いた。

 これで、きっと合わせて「*100」ということだろう。


 さあて、次はどの岩を狙おうかな。

 あれにしよう。

 今までより二倍はでかいけど、なんせ「*100」(きっと百倍?)だからね。

 いくぞー!

 

「ぶっ飛べ!」


 ゴゴウッ

 ゴゴン、ゴゴン、ゴゴン……

 ……。

 ……。

 ……。


 目の前の崖がきれいさっぱり消えうせてる。

 いや、その向こうにあった山すらも……。


 な、なんじゃこりゃー!!

 

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