第2部 おかしなスキル
第4話 スキル鑑定
さて、やってきましたよ、冒険者ギルド!
街に冒険者ギルドがあると分かった時には、ホント興奮しちゃいましたよ。だって、ギルドだよ! ギルドっていったら異世界モノの定番でしょ。
思ったより小さく古い木造の建物は、独特の味があった。
うーん、いいなあ、最高だ。
ギルドの外で、しばらくニヤニヤしていたら、通行人からいぶかしそうな目で見られてしまった。
「こんにちはー!」
ギコギコ音がする両開きのドアをばーんと開け、中へ入る。
左手には分厚い木のカウンターがあり、右手には丸テーブルが二つ置いてあった。
丸テーブルの一つには、四人のおじさんが座っており、その人たちがジロリとこちらを見てくる。
カウンターの向こうに座る受付は、唇の左上にホクロがある、やけに色っぽいお姉さんだった。
「は~い、坊や。テラコスギルドに何かご用かしら?」
彼女がカウンターに肘を着くと、胸元が広く開いた服から大きな胸がこぼれ落ちそうだった。
俺は慌てて彼女の胸から視線を上げた。
女性は笑顔をたたえ、そこだけ笑っていない目で俺をじっと見ている。
「ええと、あのー、『剣と盾亭』のゴリアテさんから紹介されて来ました。冒険者登録したいのですが……」
「なんだい、『
俺はゴリアテさんから借りた銀貨を、磨かれた木のカウンターにかちりと置いた。
「じゃ、鑑定するから、そこに手を出して」
言われるまま、カウンターに置かれた黒い板に手を置く。板に白く光る文字が浮かびあがった。
************************
名前:クロダ グレン
レベル:1
年齢:16
職業:無し
犯罪歴:無し
スキル:【言語理解】、【言語伝達】
ユニークスキル:???
称号:???
************************
あー、言葉が通じてたのは、この【言語理解】と【言語伝達】ってスキルのお陰だね、きっと。
「レベル1? あんた珍しいね、その年でまだレベル1なんて。それに覚醒してないんだね」
おー、覚醒か! いい響きだな。
「ええと、覚醒ってどうすればできるんです?」
「そんなことも知らないなんて、山奥の出なのかい?」
「ええ、そんなとこです」
実際に山奥で卵から生まれたもんね。それより、覚醒のこと教えてくれないの?
「まあ、犯罪歴がなければ、冒険者にはなれるんだけどね。あと、ユニークスキルと称号だが、差しつかえなければ教えておくれ」
「ええと、スキルと称号が見えませんが?」
「ああ、これじゃあ見れないよ。これから渡す冒険者カードなら、本人に限り見ることができるからね」
そうなんだ。
黒い板を持って奥に入っていった受付の女性は、端に穴が空いた金属板を持ってきた。ちょっとキャッシュカードを思わせるね。
「はい、これが冒険者カードだよ」
茶色い金属板を手に持つと、空中に白く輝く文字が現れた。
************************
名前:クロダ グレン
年齢:16
レベル:1
職業:無し
犯罪歴:無し
スキル:【言語理解】、【言語伝達】
ユニークスキル:【中二病(w)】(レベル1)
称号:竜の落とし子
************************
えっ? ユニークスキルに書いてある【中二病(w)】ってどういうこと? スキルが病気? それに、(w)ってナニ? なんで草が生えてるんだよ。
しかし、病気がスキルってどういうことだよ?
さすがに、これはワケわかんない!
それに称号も……おい、これタツノオトシゴじゃないか!
「で、どうだい? ユニークスキルと称号は何だった?」
どっちも言えるわけないだろ!
「ええっと、両方ありませんでした」
俺は肩を落とし、そう答えるしかなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます