覆面作家~秋山と冬山の関係

白鳥は冬山の手紙を読み、執念深さと、気味の悪さを感じた。秋山に聞く。


「冬山つばさの本名は、春山つばさなのですね。

失礼ですが、秋山様は、春山と付き合っていたのですか?」

「申し上げにくいのですが。実は、高校一年の時、付き合っていました。僕はその後、天空寺高校を中退して、アメリカに留学しました。ですので、高校時代の人とは疎遠になってしまって」


秋山は恥ずかしそうに言った。白鳥はこの時、元彼女によるストーカーと判断したのだ。


「そうですか。冬山からの手紙には住所が書かれていなかったんですね」

「はい」


白鳥は封筒を見て、頭を掻く。

少し考える。「冬山つばさ」の本を出版している講徳社こうどくしゃに問い合わせたほうがいいのではないかと考えた。


「婚約者の真田様にお伝えしていますか?」

「・・・・知らせていないのです。あの、このことは有希子には黙ってもらえますか?」  


秋山は困り果てた様子だった。


「そうですか。確かにお伝えし難い内容ですよね。元恋人がストーカーになっているなんてことは」

「はい」

「春山つばさの特徴を教えて頂けますか?」

「彼女は中々の美人でした。しかし、人嫌いでした。確かに別れる際、僕は一方的だったのを今は反省しています」


秋山は綺麗な目に涙を浮かべる。

白鳥は、秋山の言ったことをメモした。彼の表情を見つめた。


「秋山さんは、「春山つばさ」及び、「冬山つばさ」の作品は読まれたことはありますか?」


「ええ。彼女の作品ってかなり難しいですよね。小難しいというか神経質というか」


秋山は冬山の作品を思い出しながら言った。


「そうなんですね」

「そうそう。僕のプライベートの携帯の電話番号をお伝えしておきますね。連絡をすぐに出来るようにしておきましょう」


秋山は綺麗な指を自身のポケットに突っ込む。秋山はスマートフォンを取り出した。

白鳥と秋山は電話番号を交換した。


覆面作家~秋山と冬山の関係 (了)

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