最終話

「俺、お前に大切な話がある」




プールデートから帰宅し、2人が住むマンションの玄関にたどり着いた俺は紗奈にこう言った。・・・プールのせいで、少し濡れた長い黒髪がめっちゃ綺麗だ。




「何?改まって。いつもの優太らしくないよ」


「俺、やっぱ紗奈のこと好きだわ。大好き。ただの幼なじみじゃなくて一人の女性として愛してる」


「え?それって・・・」


「紗奈。俺、お前のことが好きだ。16年間ずっと好きだ。一人の女性として愛してる」




俺の告白を聞いた紗奈は当初、無反応だった。しかし、ほどなくして、




「私も優太が好き。大好き。愛してる。やっと私の恋が報われたんだね・・・」




と言ってくれた。そして、お互いの唇が深く、激しく触れ合った。しかし、紗奈とは何度キスしたのだろうか。しかし、高校生になってからのキスはもちろん初めてだ。紗奈だってそうだろう。これはもう、俺も紗奈もファーストキスだと思う。その感触は、脳が溶けるようなとても甘い感触だった。そして・・・




「とうとう俺たち、恋人になってしまったんだな・・・」


「そうだね・・・うん、ありがとう。今日はすっごく楽しかったよ。ダーリン♡」




と幼なじみであり恋人でもある石原紗奈いしはらさなは最高の笑顔とともに、俺にそう言ってくれたのであった。




◇ ◇ ◇




高校最後の夏、俺はまた甲子園のマウンドに立っている。




春も甲子園に出て、ベスト8まで勝ち上がった。でも、その時の俺は背番号8番。でも今の俺は違う。背番号1番だ。俺は高校最後の夏、春の大会までずっとエースの座を守っていた水野からエースナンバーの座を取ることができた。予選では高校生史上最速の165km/hのストレートを投げることができた。俺がずっと目標にしてきたプロへの道は・・・もうすぐそこだ。


そして1回戦が始まる少し前、俺はバッテリーを組む平野と今日のゲームプランについて話し合った。




「じゃあ、さっきの打ち合わせ通りに行こうか」


「おう。じゃあ俺は初回から球数ケチらず、目いっぱい行くよ」




初回から全力で。それが今日の俺たちのゲームプランになった。セカンドを守る松原も、ショートを守る松村もしっかりと守ってくれるだろう。紗奈も勝利の女神としてベンチに降臨している。俺たちの力が全国でどこまで通用するかどうか。うん、やってやるさ。




そして、俺たち東高ナインは全員で一斉に試合開始の整列に走っていった。




◇ ◇ ◇




・・・というわけでおしまいです。この小説を書き始めた段階では、優太は綾羽を恋人として選ぶということを考えていたわけですが、さすがに教師と生徒、監督と選手の恋愛は書けないかな・・・と思い、紗奈を選ぶことになりました。というか、優太の性格上、綾羽を選ぶというのは考えにくいかもしれませんね。


最後の方はなかなか更新ができす、半分投げやりという形で終わりましたが、エピローグはほぼ、最初の構想通りに書くことができてよかったな・・・と思います。


優太の野球人生はまだ始まったばかりです。これからどうなるかは作者である私も知りません。あ、紗奈との恋愛はずっと続くということは私が保証しますよ。この2人はずっとラブラブカップルでいることができると思います。




それでは、またいつか・・・

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夢の続き 青獅子 @bluelion

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