最終章
第24話
8月上旬。夏の甲子園がいよいよ開幕し、その一方、我が名古屋東高校野球部は来週から秋の県大会の名古屋地区予選が始まるという状況であったが、小林監督の計らいで1日だけ休みをもらうことができた。俺はその休日を利用し、紗奈をプールに誘ったのだが・・・
「監督!?何でここにいるんですか?」
俺と紗奈はプールで1人泳いでいる水着姿の小林監督を見つけ、驚愕したのであった。
「たまたまチケット貰っただけよ。それに行く相手いないしね・・・」
小林監督はこう言っていたのだが、水着姿がすごい似合っている。モデルのような華奢な体型で実は筋肉質なのだが、それがものすごいマッチしていて、美人という表現をより一層強調させている。
「もー、優太。何、浮気してるの・・・」
紗奈が俺を睨みつけてきた。怖い・・・でも、紗奈の水着姿も可愛かった。長くて綺麗な黒髪に白のビキニ。胸も意外とあって・・・ナンパ男が真っ先に寄ってきそうだ。しかし、紗奈もそれを察しているのか、「私、優太のことだーいすき♡」と言って、俺に寄り付くのであった。これに対して小林監督は、「2人のことが羨ましいわね。私もこういう恋愛したかったなぁ・・・」とため息を漏らしていた。
結局俺たち3人は一緒にプールでデートをすることになった。紗奈も小林監督もはしゃぎ回っている。紗奈は結構こういう子供っぽいところがあるから、特には何も感じないのだが、小林監督に関しては真面目なイメージしかなかったから、こう子供のようにはしゃいでいる姿を見ることになったのは意外だった。
「そういえば優太って、私の胸に飛び込まないの?」
「え!?別に俺はそんな趣味なんてないし・・・」
「そうなの?私、優太なら何されても大丈夫なのに・・・」
結局、俺は紗奈の胸に突っ込んだ。いや、突っ込まれたという方が正しいかもしれない。紗奈が俺に抱きつき、その影響もあって、俺の顔が紗奈の胸に入ったのだ。一言で言えば・・・苦しい。ただそれだけだった。そして、2人で流水プールをしばらくの間、プカプカしていた。そして小林監督は、「面白いわね。漫才みたい」とうすら笑いをしていたのであった。そして、
「そういえばここ、ウォータースライダーあるじゃん。行こうぜ」
俺は紗奈をウォータースライダーに誘った。紗奈も「うん!そうだ、監督も行きましょうよ」と言って誘いに乗ってくれた。・・・小林監督もね。
「なんか私のお尻に変な感触がするんだけど・・・」
「それに俺の後ろも柔らかいな・・・って、監督の胸じゃないですか!」
まず紗奈が、そしてすぐ俺がすべり台から降りたのはよかったが、そして俺の下半身が紗奈のお尻に当たったようだ。しかも、俺の頭が小林監督の胸に当たるというおまけ付き。
ウォータースライダーには結局、2回乗った。2回乗ったところで、時刻はもう昼の1時を回っていた。そろそろ昼食にしていい時間だ。
昼食はプールサイドにあるレストランで食べることにした。お昼ということもあって、結構混んでいる。結局、1時間ほど待たされ、俺はラーメンを、紗奈は焼きそばを、小林監督はお好み焼きを注文し、食べたのであった。
そして昼食を食べると、俺たち3人は流水プールに入った。そして夕方、太陽も西に傾き始めた頃、3人はそれぞれ帰路に着いたのであった。
◇ ◇ ◇
「じゃあ私はもう帰るからね。あなたたちも明日に備えて早く帰りなさいよ」
小林監督は自分の車に乗り帰路についた。俺たちも帰るか。
「それにしても、今日は楽しかったな」
「うん!でも、監督が来ていたのには驚いちゃった・・・」
「・・・ああ、そうだな。野球一筋っていうイメージがあったから意外だった」
「でも監督がいなかったら、私と優太、2人でデートできたのにな・・・」
帰り道、2人はそれぞれ談笑する。野球のこと、学校のこと、そしてこれからの2人のこと。そしてお互い自宅のあるマンションの前にたどり着き・・・
「俺、お前に大切な話がある」
俺は紗奈にこう言ったのであった。
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