第18話

6月に入ると、夏の甲子園の愛知県予選に向けてチームが本格的に動き始めた。俺自身はと言うと、5月以降、練習試合で投手を務める機会が何度かあった。そして6月初旬に行われた校内合宿の最終日で、夏の大会の登録メンバーが発表された。




◇ ◇ ◇




名古屋東高等学校


部長 松井邦雄まついくにお

監督 小林綾羽こばやしあやは

コーチ 脇田修一わきたしゅういち笹川直樹ささがわなおき


ベンチ入りメンバー


1 投 水野雄馬みずのゆうま 左左 1年

2 捕 平野雅文ひらのまさふみ 右右 1年

3 一 上田和道うえだかずみち 右左 1年

4 二 松原隼太まつばらはやた 右左 1年

5 三 日高進一ひだかしんいち 右左 1年

6 遊 松村和樹まつむらかずき 右右 1年

7 左 池田武志いけだたけし 右左 1年

8 中 伊藤優太いとうゆうた 右右 1年 主将

9 右 谷川南朋たにがわなお 右左 1年

10 投 鈴村勇吾すずむらゆうご 右右 1年

11 投 後藤航平ごとうこうへい 左左 1年

12 捕 西村大地にしむらだいち 右右 1年

13 捕 吉川哲也よしかわてつや 右左 1年

14 内 大谷泰人おおたにやすと 右左 1年

15 内 加藤雄平かとうゆうへい 右右 1年

16 外 大井雄介おおいゆうすけ 右左 1年

17 外 宮内高志みやうちたかし 右右 1年

18 投 中井周平なかいしゅうへい 右右 1年

19 投 山田俊介やまだしゅんすけ 右右 1年

20 投 坂口春道さかぐちはるみち 左左 1年


記録員 石原紗奈いしはらさな(1年)




◇ ◇ ◇




結果的には、大竹・藤田・大脇・橋本・木村の5人がメンバーから外れることになったが、5人が5人、もう必要がないという訳ではない。小林監督は今大会中、マネージャーとともに登録メンバーのサポートや相手校の偵察に向かってもらい、秋以降のベンチ入りを目指すよう5人に促した。そして小林監督の推薦で、俺が引き続き主将を、そして紗奈がチーフマネージャーを任されることになった。




◇ ◇ ◇




抽選会の結果、名古屋東は1回戦から登場し、3回戦まで勝ち進めば、シード校であり、昨年の代表校である海工大栄電かいこうだいえいでん高校と対戦する構図となった。海工大栄電高校は甲子園優勝経験もあり、数多くのプロ野球選手も輩出した全国区の強豪私学である。昨年の夏の甲子園ではベスト8まで勝ち進み、新チームである昨秋の県大会では準優勝、そして今春の県大会でもベスト4という戦績だ。


ちなみに愛知代表の有力校には、栄電の他に、今年の春の甲子園に出場し、ベスト4まで勝ち上がった東望とうぼう高校と、今春の県大会で準優勝、その後に行われた東海大会でもベスト4まで勝ち上がった大京大大京だいきょうだいだいきょう高校の名前があった。いずれもシード校であるが、秋春の県大会を制した東望が頭一つ抜けてるようだ。


そして後に続くのは、いずれも春ベスト8でシード校でもある、光栄こうえい愛知第一あいちだいいち豊川学院とよかわがくいんの古豪3校と、刈川かりがわ西浦にしうらの県立2校であった。シード校は以上の8校。そしてノーシードの注目校に挙げられていたのは、いずれも実力校である、智学館ちがくかん舞産大三河まいさんだいみかわ、そして5月に初めて練習試合で対戦した星徳せいとくであった。




◇ ◇ ◇




夏大のメンバー発表と抽選会が終わると、いよいよ夏の甲子園の愛知県大会まで、あとわずかとなる。1度でも負けたら終わりの一発勝負。1ヶ月後、180校以上の出場校の中から愛知県の頂点に立ち、甲子園のその姿を表すことができる高校はたった1校のみ。そして2ヶ月後、唯一敗戦の経験を知ることがなく、全国の頂点に立てる高校は全国約4000校のうち1校のみ。




夏への扉は、俺たちの眼の前で音を立てて開いたばかりであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る