第16話
ゴールデンウィークに入ると名古屋東高校野球部でも校内合宿が始まった。朝5時に起床し、そのまま練習。そして食事を挟みながら、夜10時まで練習が続くという質も量も濃い厳しい練習だった。その間、紅白戦も2試合やった(3試合やる予定出会ったが、1試合雨で中止になった)。
俺はレフト、センター、ライトを一通り守った。ちなみに俺の打撃成績も紹介する。1試合目は紅組の4番としてフル出場し、5打数3安打1本塁打3打点。そして2試合目は白組の3番としてフル出場し、5打数2安打1打点という結果だった。結果としては上出来で、レギュラー争いでも優位に立つことができた。
そして、10日間続いた校内合宿の最終日、東高野球部初の対外試合が組まれた。
◇ ◇ ◇
練習試合の相手は同じ愛知県内の
俺たち東高野球部員は、学校が用意してくれたバスで、
しかしそれにしても、小林監督はこうして遠征の時はバスの運転手もやり、練習後は俺たち部員と一緒にボール磨きやグラウンド整備をしたり、時には紗奈たちマネージャーと一緒に間食用のおにぎりを作るなど監督以外の仕事も嫌な顔ひとつせずにしてくれる。俺たち部員が監督を好きになり、監督のためにも頑張ろうと思うのに時間はかからなかった。
星徳高校に着き、バスから降りると、星徳のコーチが出迎えてくれた。小林監督の話では、星徳の一軍と二軍は現在、県外遠征中であり、どうやら全員1年生の三軍が試合に挑んでくるようだ。星徳は部員が100人以上いるから、三軍までちゃんとあるんだな。
「わざわざここまで来ていただき、ありがとうございます」
監督はバスの駐車に忙しいので、先週、小林監督から仮の主将に任命された俺が代理として挨拶に出向く。
「ご丁寧にありがとうございます。今日はよろしくお願いします」
通り一遍の挨拶の後、星徳のコーチがニヤリと笑い掛けた。
「今日の試合はうちも1年生ばかり使いますので、楽しみにしてください」
「東は初の対外試合なんで、お手柔らかにお願いします・・・」
星徳のコーチからこう言われた俺は苦笑いするしかなかった。
◇ ◇ ◇
『N』の黒帽と、『NAGOYA EAST』と上下に書かれた縦縞のユニフォーム。練習試合とはいえ、今日初めて着るユニフォームは公式戦でも着る予定だ。試合前、俺はこのユニフォームを着て武者震いをしていた。しかし、「伊藤くん、大丈夫?」と小林監督は俺に言ってきたので、俺は「大丈夫です!」とだけ言った。そして記録員を務める紗奈からも、「こんな優太、初めて見た・・・」と言われたので、俺は「試合前はいつもこんな感じだぞ」とだけ言った。そして、
「東高、ファイ!」
ベンチで俺の掛け声とともに、名古屋東高校初の対外試合が始まった。
◇ ◇ ◇
STARTING LINEUP
名古屋東高校(先攻)
1番
2番
3番
4番
5番
6番
7番
8番
9番
星徳高校(後攻)
1番
2番
3番
4番
5番
6番
7番
8番
9番
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