一 季節外れの素麺

出会い

 車で一時間半。目的のコンビニの駐車場に入ると、探すまでもなく迎えるべき人物の姿を見つける。コンビニの入り口横、その子は俯いて突っ立っていた。

 適当に車を停めて、声をかける。


橘日和たちばなひよりちゃんかな?」


 恐る恐ると言った調子で、下に向けられていた顔が上げられる。

 肩下まで伸ばした黒髪がよく似合う、顔立ちの可愛らしい少女だった。しかし、首元が伸びているクリーム色のシャツと、膝の部分が擦り切れたジーンズは薄汚れていて、どこからどう見ても使い古されたお下がりの洋服であった。


 丸い瞳は怯えている。

 橘日和たちばなひより、小学二年生。日和を迎えに致るまで、聞き及んだことを思い出す。それは、少なすぎる情報と言っていいものだった。名前と生年月日、性別しか知らないに等しい。だが、これからこの少女と、一つ屋根の下で暮らす予定である。

 日和と目線を合わせて屈み込んだのは、沖惣次郎おきそうじろう、三十三歳。独身。


 ――白昼堂々とは言え、コンビニの前で少女に声をかけている不審な男に見えなくもない。コンビニに来店する子ども連れの主婦が、二人に怪訝な視線を送っていることに気付いて、惣次郎は屈ませていた体制を戻した。


 惣次郎は、ごく普通の青年だ。髪も髭も身綺麗に整えられ、服装も至って年相応で普通。イケメンではなかったが、そこまでの不細工ではないと自負している。ウェリントン型の眼鏡が、人の良さそうな雰囲気に一役も買っていた。だが、法を犯す人物には意外性があることを、惣次郎も知っている。岡目にすれば、自分が怪しまれていてもおかしくはなかった。

 そわそわする。惣次郎は小心者なのだ。早く何かしゃべってくれ――そう心の中で懇願すると、逡巡していた日和がおもむろに手を動かした。両手に抱えていたスケッチブック――画用紙、所謂らくがき帳――に黒いマッキーペンを走らせる。子ども特有の癖のある字が、惣次郎の前に提示された。


『たちばなひよりです。よろしくおねがいします』

 辿々しい文字を頭の中で読み上げて、惣次郎は戸惑う。

「……もしかして、しゃべれないのかな?」


 日和の顔はらくがき帳に隠れたままだったが、覗く頭頂部が小さく上下したことで頷いたのが分かった。

 惣次郎の声は難無く聞き取れているようであり、黒髪から見える耳に、補聴器らしきものは見当たらなかった。聴力に問題はないらしい。ただ、話すことが出来ないのだろう。


 何かの病気だろうか――何も聞いていないと、電話越しで日和に対する問答を繰り返した叔母に、恨み言の一つや二つや三つが出てくる。


「……荷物もこれだけかい?」


 日和の荷物は、背負われているランドセルと、小学生でも楽々と持てるであろう小さめのボストンバッグが、足元に置かれているだけだ。

 惣次郎は困惑した。いくら子供であっても、これから引っ越すというのに身軽すぎる。

 取り敢えず、日和を車の助手席に乗せると、惣次郎はコンビニでジュースとお茶のペットボトルを買った。

 日和にジュースを手渡し、発進する。


 気の利いた音楽を、惣次郎の車のカーステレオが鳴らすことはなかった。

 愛車であるスバルのヴィヴィオは、年代物である。

 クラシックカーとまではいかないが、オートマであるにも関わらず坂道発進は雪道でもないのに気を遣ったし、勾配の激しい道や長距離の運転をすると、エンジンが怒るように不穏な音を響かせた。

 購入した当初、目が眩んだのは安さだった。二年の車検付きで十五万円。格安である。その分、修理跡は目立ち、ボンネットの塗装は剥げかけていた。背に腹は変えられないと判を押したのだったが、今は小振りなデザインと小豆色の車体に愛着を抱いている。


 愛車は舗装された道でも、僅かな段差の存在をダイレクトに伝えてきた。成人男性の惣次郎と違い、身軽な日和の体はその度に跳ねる。車内に響く走行音も酷かった。

 これからは、流行りの曲を調べておかないと――ラジオからはタイミングが悪く、懐かしい昭和の音楽が流れていて、惣次郎は歯噛みする。小学生の日和には退屈だろう。


「日和ちゃんは好きな歌手とかいるの?」


 聞いてから惣次郎は「しまった」と思った。

 隣でせっせとらくがき帳に文字を書き込む仕草を感じるが、運転中の惣次郎が逐一紙面を確認するわけにはいかない。こういう時に限って、生憎なことに信号にも捕まらないものだ。

 らくがき帳に文字を綴り終えた日和が、惣次郎が読んでくれることを待っていた。


「ご、ごめん……運転中だから読めないんだ」


 情けない声が漏れる。そうして、沈黙。ラジオからの空気を読まない陽気な声。ただでさえ狭い社内の空気が、より一層に息苦しく圧縮された気がした。

 らくがき帳を見ることは叶わなかったが、横目をちらりと投げ掛けてみると、日和の頭が見えた。車窓からの風景を眺めているらしい。

 日和の姿は寂しげにも見える。フロントガラスに目を戻しながら、寂しくないわけがない、と惣次郎は思った。


 二週間前、電話で話した母方の叔母の声を思い出す。


「いや、でも、うちは狭いアパートですしね」


「ほら、惣次郎くんのお婆さんの家。お婆さんが亡くなってからはずっと空き家なんでしょう? そこに引っ越すのはいかが?」

「しかし、僕は男の独り身ですし」

「あら! 近頃は男手一つで子育てしている家庭も珍しくないのよ? 色々と行政からの援助も手厚くなってるみたいだし」

「はあ、でも……」

「これだけ頼んでもダメなら仕方ないわ。惣次郎くんももう三十三歳で結婚もまだでしょう? 老後が寂しいだろうから、いい話だと思ったんだけど……しょうがないわねえ……あの子には、やっぱり施設に行ってもらうしかないわ」


 一転して刺々しく、嫌味混じりの口振りになった叔母が、惣次郎は昔から苦手だった。とは言っても、両親の葬式や法事の席で数度顔を合わせただけだったが。

 受話器越しの相手は顔が見えない。しかし、声が持つ印象というのは興味深いもので、面と向かって話す時よりも感情が伝わりやすい。特にマイナスの感情が口から発せられ、受話器を通り、電気信号に直され、また声として再現されて耳に伝わるのは、喜びや楽しみの感情を知るよりも容易である。

 電話の向こうに居る叔母も、笑んでいるのだと思う。だが、声音から受け取れるのは攻撃性だけだ。


「あなた、お婆さんの家も相続して、お父さんや姉さんの保険金も入って、お金には困ってないんでしょう」


 叔母が言う姉さんは、惣次郎の母だ。お父さんは惣次郎の父、お婆さんは父方の祖母だった。

 祖母は十何年前に、両親はつい半年前に、交通事故で亡くなっている。


「仕事は……何してるんだっけ? 絵を描いてて、ずっと家に居るんでしょう。本当お気楽でいいわねえ。こっちは子どもが五人も居るし、しがないサラリーマンだから、こんな厄介事は大変なのよ」


 沖惣次郎、三十三歳。独身。知名度はないイラストレーター。

 この歳まで独身なことも、このままでは老後が寂しくなることも紛うことなく真実であったが、この先結婚をしないと断言されていることには余計なお世話感を拭えない。この時代、男三十三歳で独身であることは、さして珍しいことではなかった。だが、十六歳で第一子を産み、結婚をすること、子どもを産むことが最高のステータスだと信じている叔母にとっては、惣次郎は〝遅れている〟のだ。まあ、お付き合いをしている彼女も居ないが。それこそ、惣次郎には大学生時代の苦い恋愛経験以来、悲しいことに浮いた話はない。


 はあ、とも、ほう、とも。煮え切らない相槌を惣次郎は打つ。


 厄介事――。去来するのは、二年前の葬式会場だった。遠縁すぎて詳しい間柄も覚えてはいない、母方の親戚が亡くなった。そこに、叔母に忌々しく〝厄介事〟と言われるソレは居た。

 真新しい赤いランドセルを抱え、小さな背中を丸めて、俯いていた。小学校への入学を間近に控えた、幼い女の子だ。

 細い足を縮めて正座をする女児の前には、まだ若い男性と女性の遺影がある。女児の両親だった。

 惣次郎と同じく、不慮の事故で両親を亡くした女児は、それから二年もの間、親戚の元を転々としているらしい。たらいまわしだ。

 女の子の一人くらい、成人まで面倒を見る心優しい人間は居ないものか――我が親戚でもある面々に、惣次郎は少々の幻滅も抱く。それにしても、子育ての経験もない独り身の男に話を持ってくるなんて、事態の逼迫さも知れるところだった。

 施設もあながち冗談じゃないのかも。惣次郎は溜め息を吐いた。


 女児の両親が亡くなった時はまだ惣次郎の両親は健在だったが、今、思い返してみると、同情とはまた違い、両親が亡くなった時の自分の姿を重ねてしまう。


「婆さんの家に引っ越すまで時間がかかると思いますけど……それからでもいいんですか?」


 そうして惣次郎は、長らく一人住まいをした1Kの賃貸アパートを引き払い、祖母の家に引っ越す決意を固めたのだった。


 いい歳になる惣次郎でさえ、両親が突然居なくなってしまったのは、身にも心にも堪えた。まだまだ親の愛を必要とする幼い日和には、それ以上の悲しみと喪失感があったはずだ。惣次郎には日和が傷付いた小動物のようにも見えて、何かを話さなくてはと、ギュッとハンドルを握る手に力を籠めた。


「運転が終わるまでさ、おじさんが一人で喋るから聞いててくれるかな?」


 自らが提案しておきながら、怪しさ満点のクソオヤジの台詞のようだと、惣次郎は血の気が引いた。だが、言った手前、黙ってしまうのは更なる気まずさを生んでしまう。


「これから日和ちゃんが住むところなんだけど、びっくりしちゃうかも。僕のお婆ちゃんの家だったんだけどね、おばあちゃんが亡くなってからはずっと空き家だったんだ」

「……」

「古い家なのに誰も手入れする人が居なくて、もうボロ屋敷だよ。あ、えっと、僕も三日前に引っ越したばかりなんだけど、日和ちゃんの部屋はちゃんと掃除したから大丈夫」

「……」

「急にボロ屋敷とか言われたら嫌になっちゃうよね。でも、見てからショックを受けるよりはいいかなって思って……いや~僕も、引っ越したときは驚いたよ。小さい時に一回や二回くらいしか来たことがなかった家だし」


 父方の祖母と惣次郎の母は折り合いが悪く、祖母と会ったのは指折り数えられる程度であった。片手で足りるくらいだ。祖母がどのような顔であったのかも、朧げな幼少期の記憶に面影を残してはいない。


 祖母が亡くなったのは、惣次郎がまだ大学生の頃だ。祖父は物心がつく前に亡くなっている。

 一人暮らしであった祖母の家は無人となり、父は育った家に移り住むことも考えていたようだったが、母が移住に首を縦に振ることは終いまでなかった。その父と母が亡くなり、家は惣次郎が相続することとなったが、何分田舎に在る家に住む気にはなれず、そうして長いこと手付かずの状態が続いた空き家の荒廃は、惣次郎の想像を軽く超えていた。廃屋の一歩手前だ。

 見たら、ガッカリするかもなあ。家を見た時の日和の反応を想像し、惣次郎はひやひやとする。


 季節は夏の盛りを過ぎ、秋の足音が聞こえてくる頃合いだった。日の入りも早くなり、長いドライブを終えて家に到着した時には、辺りは薄暮に染まっていた。

 風景に闇が陰ってくると、築何十年も建っている古い瓦屋根の日本家屋は、見事なおばけ屋敷のようにも見える。玄関先に好き放題に伸びた雑草が、荒廃した雰囲気を更に掻き立てていた。

 雑草を踏み潰して、狭い駐車スペースに車を停めると、惣次郎は隣に居る日和を見た。


 惣次郎の心配をよそに、日和には物怖じしている様子はない。恐怖も、落胆も、喜びも、何もなかった。惣次郎の視線に気付いた日和が、おどおどと俯く。ひとまず怖がられなかったことに惣次郎はほっと胸を撫で下ろして、日和のボストンバッグとランドセルを手に持ち、家の中へと案内する。

 古めかしい外観に違わず、玄関も今時は珍しい格子扉の引き戸であった。欄間の中央部分に、沖と掘られた年季の入っている表札がかかっている。

 玄関の三和土には亀の甲羅のようなタイルが敷き詰められていて、無駄に広い。手探りで見つけた電気のスイッチを入れると、二度の瞬きの末に黄色味を帯びた白熱電球が灯った。


「靴は適当に置いていいからね……」

 あれ? と思って、惣次郎は言葉尻を窄める。

 ここに越してきた当初、廊下は長年の埃が分厚く降り積もっており、引っ越し業者の足跡がくっきりと残って、何処に歩いていったのか足取りが克明に分かってしまう有り様だった。

 これは酷いと、スリッパをコンビニで買ってきて――男の一人暮らしに、今まではスリッパの必要性がなかった――荷解きをそっちのけにし、惣次郎はまず廊下の掃除から取り掛かった。三日が経った今日も、全ての廊下を磨ききれてはいなかったが、主要の動線は綺麗にしたつもりだ。

 その時に買ったスリッパが無かった。日和を迎えに出かける際、上がり框に脱いでいったと思ったが。


「……えっと、日和ちゃんはこれを使って。あと、お腹が空いたよね、すぐにご飯にするから……ね」


 記憶違いかも知れない。そう思って靴下のまま上がると、脇に用意していた子供用のスリッパを出す。時刻は夕飯時に差し掛かっている。早く支度をしなければ——と顔を上げたところで、またしても惣次郎は言葉尻を曖昧に濁した。


 振り向いて見た日和の体に、夏の道端で見る陽炎のようなものがまとわりついている。

 それは丁度、日和の腰辺りから足元を、ゆっくりとくるくる回っていた。

 固まってしまった惣次郎を、日和は困ったように、不思議そうに見た。

 一度、二度の瞬きをし、三度目に強く目を瞑る。開けてみると、日和の体についていた陽炎はなくなっていた。

 自分で思っているよりも、疲れているのだろう。瞬きを繰り返しながら、惣次郎は手に握った汗を拭う。引っ越しと言うものは、体力を奪うだけでは飽き足らず、知らず知らずの内に精神的な疲弊も伴ってくる。加えて、この三日間は毎日が大掃除でもあった。


「なんでもないよ。さあ、上がって」

 今日はゆっくりと休もうと、惣次郎は心に決めた。


 日和を自室となる部屋に案内をしてから、惣次郎は腕まくりをして台所に立った。


 台所も古色蒼然たる佇まいだ。流石に竃や水瓶と言った戦前の装いではなかったが、名残りは十分に残されている。土間だった。居間として使う予定である六畳一間から土間に下りると、リフォームにしても取って付けたのだろうなと思える、凹んだ流し台とガスコンロが置いてある。極め付けに、流し台の上方には見る機会の減った給湯器。

 ガスコンロと水道が使えることを感謝しつつ、惣次郎は夕飯作りに取り掛かった。


 出来上がった料理の並ぶ食卓を日和と囲み、惣次郎は砂を噛む思いだった。

 三十を過ぎてロースとんかつの脂身がキツくなり、三十三を過ぎてフライドチキンを食べると胸焼けを起こすようになった。そんな惣次郎にとっては良いメニューだったが、子供が好む献立ではないだろう。

 鮭の塩焼き。付け合わせに大根おろし。出汁巻玉子と、青菜のおひたし。そして豆腐と葱の味噌汁。時間がない中で、精一杯に作った品々だ。


 一人暮らしが長い惣次郎は、料理ができないわけではなかった。

 あまり凝ったメニューは作れないが、口に入れても後悔がない程度のものならば、自炊をすることが出来る。だが——ハンバーグやグラタンなど、子供が好みそうなものを練習しておかなければ——強く惣次郎は決意する。決して不味くはないはずだったが、日和の箸は進んではいなかったのだ。


 進まないのは箸だけではない。二人の間に会話が生まれないことも、惣次郎が夕食を砂のように感じる要因であった。

 初めての一日だ。話をしようと思って、テレビの電源も落としてしまったことを悔やむ。二人暮らしと、広い家には不釣り合いの20インチテレビは、ひっそりと暗幕を垂らしている。


「日和ちゃんの好きな食べ物は何かな?」


 そもそも、結婚の経験も無し。勿論、子どもも居ない惣次郎にとって、日和のような年頃の子と話す機会などない。皆無だ。大人の女性とも仕事関係以外では話すことがないのに、小学二年生の女の子が好む話題など分かるわけがなかった。苦し紛れに、惣次郎は当たり障りのない質問を切り出す。

 脇に置いていたらくがき帳を日和が手に取った。せっせと忙しなく、日和がマッキーペンを走らせる。急いで書こうとしていることが、十二分にも伝わってきた。


『なんでもすきです。すききらいはありません』


 日和が上げたらくがき帳には、そう書かれていた。視線は惣次郎の方は見ずに下を向いたまま、歪に口の端を上げられる。ぷるぷると震えている日和の口角を見て、惣次郎が笑っているのだと気付けたのは一拍を置いたあとだ。

 精一杯の愛想笑いだった。


 日和は、親戚の間をたらい回しにされていた。また追い出されてしまわないように、居場所がなくなってしまわないように、出来る限りで、惣次郎に気に入られようとしているのだろう。そのことに気付くと、うっと惣次郎の目頭が熱くなった。なんと健気な。守ってあげなくてはとの庇護欲が擽られる。

 つんと熱くなった鼻の奥を落ち着けていると、惣次郎のスマートフォンが音を鳴らした。

 画面を確認してみると仕事先である。タイミングが悪い。


「ごめんね、ちょっと電話してくるね」


 日和に断りを入れて席を立つと、惣次郎は居間を出て自室へと急いだ。


 惣次郎はフリーのイラストレーターであった。とは言っても、名の売れたイラストレーターではない。ビッグタイトルのキャラクターを描いたことはなかったし、自身名義でイラスト集を発行したり、個展を開ける力は持っていなかった。

 細々と、たまに舞い込む本の挿絵や表紙、企業の求人広告やPR漫画、ソーシャルゲームのカード絵を描いて生計を立てている。身の入りは少なくあったが、在宅で自由に働けるスタイルが自分には合っているとも思っていた。


 現在抱えている案件の相談が終わり、居間に戻ると日和の姿はなくなっていた。

 新しい土地、新しい家、初めて会う惣次郎の存在に戸惑いがあってもおかしくはない。寧ろ戸惑いがない方が不自然である。疲れも感じていただろう。

 日和の姿がないことに呆然とした惣次郎だったが、時間をかけてやっていくしかないと納得をすると、先が思いやられる心地も覚えながら、一人、席に座った。

 やはり夕飯は砂を噛んでいるようで、味がなかった。

    

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