第6話じゃまだて
木下恵子とホテルへ行った。服を脱いで見せつけた。
「どうしたの、それ」
「バイアグラを飲んだのだ」
「どうして急にバイアグラを知ったの」
「女の子に聞いたのだ」
「怪しいわ。普通の男女間で、そんな話するわけないわよ」
「その女としたんでしょう。それで、バイアグラを教えてくれたのね」
「だって、普通、そんな話するわけないもの」
「どの娘なの」
「食堂の大原純子さん」
「どこに居る娘」
「麺類のところ」
「あー。あの娘ね」
翌日。恵子は、正門警備員室に行った。そこに居た絹川に、増田弘和の自宅の電話番号を聞いた。
「だめです。個人情報は、教えられません」
「くびにするわよ」
「あっ、はい、0743-73-○○○○です」
恵子は、増田の妻に電話をした。
「科学大学の増田さんのお宅ですか」
「はい、そうです」
「私、科学大学の木下と申します。お宅のご主人が浮気をしています」
「相手は、食堂の大原純子です」
「大学としても体面が悪いので、ご主人に注意してください」
「はい、わかりました」
賢い女は、知らぬふりをする。賢くない私は、夫を責める。
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