第3話だからナニが立たないのよ

増田弘和が正門で立っているところに、木下恵子がやって来た。

「今日は、どう」

「いいよ」

「じゃ、いつもの所に6時で」

「弘和って立ってばかりね」

「それが仕事だもの」

「だからナニが立たないのじゃない」

「余計なお世話だ」

「フフフ」


大阪難波に着いた。ホテルの部屋が広かった。和風の数奇屋造りの部屋だった。

「フーン、こんな部屋も有るのね」


ベッドの中で

「こうしていると、昔を思い出すわ」

「25年前、中学校の修学旅行で、夕飯後に自由時間が有ったの、もう一人の女の子と、男の子の部屋に行ったの」


「そうしたら、4人男の子が居て、私の好きな子が居たの」

「3時間も、体操服姿で、とりとめのない話をしたの」


「楽しかったわ。その時私男を意識したの。男の子じゃ無くて、男と女の男を意識したの。その時の事は今でも鮮明に覚えているわ」


「私、弘和と居るときは、その気分なの、たぶんアレをしないからだと思うわ」

「弘和はどうなの、私となにもしないでいて」

「ウーン難しい質問だな。立たなくなってもう3年。今じゃ立たないのが当たり前だからな」


「奥さんは、どうしているの」

「なにもしてないよ」

「奥さん、それでいいのかしら」

「たぶん、自分で処理しているのじゃないか」

「フーン」

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