母の手

「大丈夫よ。大丈夫」


 そう言って、私の頭を撫でる手は優しかった。

 母はいつも、私が落ち込んでいる時は頭を撫でてくれる。

 そのおかげで私も、どんなに悲しいことや辛いことがあっても、すぐに忘れられた。


 しかし、母が死んだ今。

 私を慰めてくれる存在はいない。


 辛いことや、悲しいことがあった時、どうしたら良いのか分からない。

 だから私は人生に絶望して、死ぬ。

 私も母も悪くない。

 悪いのは、嫌な事ばかり起こるこの世の中だ。

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