お花係

 私のいる学校には、生徒全員が何かしらの係に入っている。

 そして私は、嫌々ながら『お花係』だ。

 花なんて、別に好きじゃない。

 それなのに放課後に時間を取られてまで、何で世話をしなければいけないのか。


 毎回嫌になって、一緒にやっている人にほぼほぼ任せている。

 その人は花が好きな人種らしく、文句も言わずやっているから、本当に気持ち悪い。

 私はそれを冷めた目で見ながら、馬鹿にしていた。


 そんな風にまじめにやっても、良い事なんて絶対に無い。

 ピンチになった時、花が助けてくれるなんて無理な話だ。


「……ドンマイ」


 私は大きな穴に横たわって動かない姿に、話しかける。


「だーれも助けてくれなかったね」


 そして、上から土をかけながら笑った。

 大好きな花の養分になれるのだ。

 この子も、本望だろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る