第212話【包囲の終わり】

「何も言わなくて良い・・・か、 お前達に私を倒す算段は有るのか?」

「有りませんね」


フォースタスの問いに無いと堂々と答えるゾルゲ。


「・・・・・無い?」

「この状況、 勝ちの目は零、 と言いませんが限りなく薄い」

「ゾ、 ゾルゲ・・・」


ノートゥが不安そうにゾルゲを見る。


「だが打てる手が無い訳ではない」


ゾルゲはブロックサインを二人に送った。


「何をするつもりだ?」

「シュルトゥ」

「分かっているよ」


シュルトゥは懐から何かを取り出し、 投げつけた。


「外術【無刃」


無刃造を使用する前に投げつけられた物は炸裂した。

それはまさに光の奔流。


「なっ・・・何だ!?」


咄嗟の事に前傾姿勢になるフォースタス。


「Leg Strength!!」


ゾルゲが足を強化する魔法を唱えた。

そして飛び上がる。


「己ぇ!! 逃がすか!! 外術【無刃造】!!」


眼が眩みながらフォースタスが無刃造を放つ、 しかし当然当たらず

土の壁を穿つ結果になった。

シュルトゥもワイヤー付きナイフを投げて土の壁の上に出て行ったのだった。




場面を再びスクラッチとメフィストフェレスの元に戻す。

炎の槍がスクラッチ目掛けて飛んで来る。

スクラッチは槍をすり抜けてメフィストフェレスに突っ込む。


「終わりだ!!」


スクラッチが槍を突く、 数多の強者を葬って来た槍の一撃

メフィストフェレスも例外無く殺せるはずと確信した一撃。


「まだ終わらない!!」


メフィストフェレスは自身の腕を槍に突き刺し

無理矢理槍の軌道を変えて死から逃れ出たのだった。


「何だと!?」

「あいしくるすらっしゅ」


たいしが氷の刃を構えてスクラッチに振り下ろす。

スクラッチは咄嗟に槍を放して飛び退いた。


「ちぃ!!」

「やりつかい、 やりがなければただのひと、 ってねぇ」

「ふん・・・」


スクラッチは懐から棒を取り出した。


「なんだいそれ」

「・・・・・」


スクラッチは棒を振るとしゃっ、 と伸びて槍になった。

持ち運びやすい警棒と同じ理屈の物なのだろう。


「めんどうくさいなぁ、 でもぼくにはつうじない」

「Healing」


メフィストフェレスは突き刺さった槍を抜いて治癒の魔法を唱えて怪我を治した。


「治癒か・・・一撃で殺す必要が有るのか・・・」

「そう言う事だな」

「むりなんだいだねぇ・・・」

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