第187話【額を擦り付ける】
グレートヒェンと戦っていた大臣だったが動きが急に止まった。
そして黒板に文字を書き始めた。
”ここで終わりか・・・無念”と黒板には書かれていた。
そして大臣は消滅した。
「・・・・・やった、 か」
その場にへたりこむグレートヒェン。
大臣が倒された事によって魔物達の動きも逃げ出した。
「さてと、 次はあの娘か・・・」
歩き、 クレールを探し始めるグレートヒェン。
ファウストの頭部のサポートも有り、 容易く見つかった。
「・・・・・」
クレールは廃屋の近くでざくっ、 ざくっとシャベルで穴を掘っていた。
「何をしているんだ?」
「・・・・・死んだ仲間達の墓を建ててやろうと思ってね・・・」
「・・・・・そう・・・・・」
その光景を見るグレートヒェン。
「貴女一人だけ? あの男は?」
「死んだよ・・・」
「そう・・・手伝おうか?」
「いい・・・・・」
「・・・・・」
沈黙が流れる、 ストーンとデルを埋葬し終わる頃には夜になっていた。
「・・・・・」
「・・・・・」
手を合わせるクレールとグレートヒェン。
「貴女と彼のお陰で勝てたよ」
「そう・・・じゃあこれは一つ貸しと言う事になるわよね?」
「そうね、 君達を殺してファウストの死体を奪うつもりだったけども
交渉したいと思う、 出来る限りの事はするよ、 聞けない頼みなら貸しは踏み倒すけど」
「だったら一つ頼みたい事が有るのだけど良いかな?」
「とりあえず言って見なさい」
「私の御主人様のジェラール様を助けるのに協力して欲しいの」
「ジェラール・・・ミハエル殿の御子息か、 生きている保証は有るの?」
「分からない・・・でもお願い!! 私はジェラール様を助けたいの!!」
地面に額を擦り付けるクレール。
「私は如何なっても良い!! だけどジェラール様は救いたい!!
私も出来る限りの協力はするよ!!」
「出来る限りの協力か・・・じゃあ私の手伝いをして貰おうか」
「手伝い? 何をすれば良いの?」
「国王フォースタスに歯向かう」
「!?」
驚愕し顔を上げるクレール。
「本気なの・・・?」
「私の愛しい人は死んでいる、 でも生き返らせるのなら王を取って
大逆人として歴史に名を刻むのも吝かでは無い」
「・・・・・」
クレールは冷や汗を流しながら笑みを浮かべた。
愛しい人の為ならば何でも出来ると言う気持ちは自分にも良く分かるのだ。
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