第186話【手を伸ばす】

「お、 おい如何するよ・・・」


グレートヒェンの言葉に狼狽えるストーン。


「・・・探すしかないでしょ」

「本気か!? 死ぬかもしれないんだぞ!? 今の内に逃げた方が・・・」

「大臣は私達の居場所を知っていた、 ここで大臣を殺さないと私達が死ぬ」

「・・・・・」


ストーンは唾を飲んで覚悟を決めた。


「分かった!!」

「なるべき急いでね!!」


グレートヒェンが叫び、 クレールとストーンが走り出した。


「しかし中枢ったって何処を探す!?」

「魔物達が居る所を探せば良い!!」

「何で!?」

「自分の弱点なら守らせているでしょ!!」

「あ、 そうか・・・」


クレールとストーンは魔物達を探した。


「居た!!」


見るからに強そうな巨躯の魔物がぽつんと居た。


「外術【一発必中】!!」


クレールの銃弾が魔物を貫き葬り去る。


「よしっ!! 後は中枢とやらを探せば・・・」

「あれじゃない!?」


クレールが指差した方向には脳髄が落ちていた。


「これか!! よしっ!?」


めぎょお、 と言う音がする。

ストーンが自分の腹を見るとそこには手が突き刺さっていた。


「ストーン、 っ!?」


どさり、 とクレールが倒れる。

大量の手に取り押さえられているのだ。


「手下だけに・・・任せてられねえって事か・・・ぐふっ」


血を吐き出すストーン。

かなりの深手でもう助からないだろう。


「このっ・・・くっ・・・」


クレールは腕を掴まれ銃を落としてしまった。

このままでは外術を使う事は出来ない。


「・・・外術【酒池肉林】」


地面から手が生えた、 しかし震えており勢いが無い。

数も少なめだった。


「ストーン・・・」

「・・・・・情けねぇ声を出すな」


ゆっくりと酒池肉林の手が脳髄に伸びる。

だがしかし・・・


ずしゃり、 と新しく出て来た足に踏み潰される。


「ストーン・・・ありがとう」


他に伸びていた手がクレールに銃を投げ渡す。

手が食い止めようとするも間に合わなかった


「外術【一発必中】!!」


銃弾が脳髄を撃ち抜く。

痙攣しながら掻き消えていく手。

解放されてストーンの元に向かうクレール。


「やったわねストーン・・・ストーン?」


ストーンは既に息絶えて冷たくなっていた。


「・・・・・」


ストーンの目を閉じさせるとクレールは立ち上がり来た道を戻って行った。

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