第182話【足を空】

ローズオーラに跨りドナウエッシンゲンを出るグレートヒェン。


「ファウスト!! 死体の在処は!?」

『今激しく発動している死体が有るのはここから北の方角だ

少なくともシュタウフェンの方角では無いな』

「この間のメイド達の所か!!」

『恐らくは』

「そうか・・・急ぐわよ、 ファウスト、 ローズオーラ

四天王とやらに死体を奪われてたまるもんですか!!」


グレートヒェンは宰相の話を途中まで聞くと

後始末をヴァーグナー達に任せてさっさと出発してしまった。

あの状況ならばヴァーグナー達に任せて大丈夫だと思ったのだろう。

事実宰相は光に呑まれ、 哀れにも粒子になってしまった。


『急ぎ過ぎじゃないのか?』

「何が?」

『他にも色々聞きたい事が有るんじゃないのか?』

「確かにスクラッチやメフィストが今どうしているのかとか気になるけども

一刻の猶予も無いわ!!」

『何故そう思うんだ?』

「四天王の実力は良く分からない

けれど外術を危険視しているのならば

ファウストの死体を処分する事も有り得るでしょう?」

『確かにその線は有りそうだ』

「それにヴァーグナー達と一緒だと

危険だからとか理由を付けて死体を処分しなければならないかもしれないし」

『なるほど、 君のしたい様にすれば良いさ』

「勿論そのつもりだよ、 死体の大部分の在処もこれで割れたし

君の復活までもう少しだ、 嬉しいでしょ?」

『君が望む通りにすれば良いよ』

「?」


首を傾げながらローズオーラを走らせるグレートヒェン。


「っと、 そう簡単には行きそうにもないわね」

『・・・・・』


グレートヒェンの眼前には魔物の群れが立ちはだかっていた。


「宰相って奴の手下かしら?」

『恐らくそうじゃないのか?』

「何方にせよ!! 押して通る!! はあああああああああ!!」


声を挙げながら魔物の群れに突っ込むグレートヒェン。

ローズオーラも魔物に恐れを抱く小心者では無い。

魔物を群れをまるで海を開くモーゼの如く切り拓くグレートヒェン。

しかし魔物は怯まず反転しながらグレートヒェンを追いかける。


「如何やら狙いは私一人の様ね!!」

『死体を持っているのは君だから当然だな』

「それもそうか!! 相手している暇は無いしさっさと行かせて貰おう!!」

『そうするか、 ローズオーラには頑張って貰おう』

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