第163話【心腹が立つ】

「馬鹿が!!」


スクラッチの報告を聞いた本陣に居たフォースタスは激昂した。


「何故スクラッチは勝手に動いたのだ!!何を考えている!!」

「だ、だけども父上・・・」

「何だ!?フォン!!」


激怒している父を諫めようとするフォンだったが気圧される。


「だって300だぜ・・・こっちは一万以上・・・普通は」

「普通だと!?良いか!?

敵はファウストの死体を持っているかもしれない超常の盗賊なのだ!!

普通や常識が何の役に立つ物か!!」


立ち上がり剣を持つフォースタス。


「へ、陛下、何方へ・・・」

「奴に最前線を任せたのが間違いだった!!

全軍に通達!!これから最前線のスクラッチの不始末の後片付けを行う!!

後に続け!!」

「陛下!!お待ちを!!」


ハンスが止めようとするも聞く耳を持たないフォースタス。


「・・・メフィストフェレス殿!!」


ウェブスターが叫ぶ。


「陛下の警護をお願いします!!」

「要らん!!メフィストフェレス!!先に行き、戦線を片付けよ!!」


コクリ、と頷くとメフィストフェレスは魔術で戦線に飛んで行った。


「行くぞお前達!!後に続け!!」


心配する側近達だったが一般兵の士気は鰻登りだった。

王自らが戦場に出て来るのだと皆高揚していた。


一方その頃、戦線ではスクラッチが戦っていた。


「くっ・・・」


超怪力、超スピードを誇る化け物盗賊達相手に善戦したが槍が折れてしまった。


「うおおおおおおおおおお!!」


盗賊の振り下ろす斧を無理矢理捥ぎ取り振り回し何とか持っているが後が続かなかった。


「Icicle burst」


空から大量の氷柱が降り注ぎ盗賊達を貫く。


「メフィストか!?」


すたっ、とメフィストフェレスが空から降りて来た。


「槍は?」

「折れた」

「じゃあ使え」


薙刀をファウストに手渡すメフィストフェレス。


「良いのか?」

「魔法でやる、Flarebomb」


後ろに迫っていた盗賊の頭部が大爆発を起こし蒸発する。


「おぉ・・・流石・・・」

「・・・・・」


空に浮かぶメフィストフェレス。


「Meteor」

「うお!!マジか!!」


その場から大急ぎで離れるスクラッチ、数秒後空から巨大な流れ星が落ち戦線に穴を開けた。


「おいおい、いきなりそんな大技使って大丈夫か?」

「敵は強い、出し惜しみは無しだ」

「確かにそうだな、じゃあ行こうか!!」

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