第152話【子の心、親知らず その4】

フォースタスとウェブスターは部隊の編制を行っていた。


「・・・・・大体この様な配置で問題無いと思います」

「分かった、では次に予算の編成を行う」

「少々休憩にしませんか?」

「何?」

「脳を酷使し過ぎて思考が疎かになるのは良くないでしょう」

「・・・・・フォンとの仕事もそう言う風にしているのか?」

「えぇ、フォン殿下も無理に働かせる事はしない方なので」

「・・・なるほど、では休もうか、紅茶とお菓子でも持って来させるか?」

「持参しております」


ポケットからジャムを取り出して食すウェブスター。


「・・・ほうジャムか」

「糖分は頭の回転に必須ですので」

「なるほど、好印象だぞ」

「それは・・・ありがとうございます?

所で陛下、此度の戦は複数の派閥が集結する物です

以前の御使いの時の様なお触れを出して貰っても宜しいですか?」

「お触れ?」

「内輪揉めは厳禁と言う・・・」

「あぁ、あれか、今回は出さん」

「何故?」

「私はな少々連中にがっかりしているのだよ」

「がっかり?」


首を傾げるウェブスター。


「奴らは本当に王に成るつもりは有るのかと問い質したい」

「はぁ・・・」

「王になるのならば手段を択ばす死体を掻き集めるか

競争相手を謀殺するなり有るだろうに一行に死体は集まらず

謀殺に起こらなかった、この事実に私は怒った」

「え?まさか自らの子供達同士の殺し合いがお望みなのですか?」

「そう言う訳ではない、だがしかしやる気が有るのかと問いたい

問い質したい、何故何もアクションを起こさないのかと

王に成るのならば、いやそもそも自分の目的を果たす為ならば

もっと切実になるべきだ

もっと強い欲求に身を任せて行動するべきなのではないのかね?」

「・・・・・」

「そこを言うならば糖分の摂取の為にジャムをそのまま舐める

君はとても好印象だ

糖分の摂取と言う目的の為にジャムを一瓶開ける君は好印象だぞ」

「ありがとうございます・・・」

「しかし情けない子供達だ、これならば私が王を続けた方が良いのではないかと思えて来た」

「王よ、それは無理な話では無いでしょうか?」

「無理?何故?」

「王の体はファウストと同一になっております

これでは公式な行事は出来ませぬ故に引退は必至かと・・・」

「何故だ?」

「何故って」

「何故私の体がファウストと同じならば王であり続けるのが問題なのだ?」

「ではどの様に民草に説明をするつもりですか?」

「・・・・・」


少し考えるフォースタス。


「確かに説明は無理か」

「分かって頂けて嬉しいです」

「じゃあさっさと予算を決めるぞ、休憩は充分だな?」

「あ・・・もう一瓶開けるので御待ちを」


ジャムを一瓶取り出して舐め始めるウェブスター。

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