第153話【心配事】

ヨナスに呼び出され人気のない所に連れ出されるゲント。


「ヨナス様、御話とは一体?」

「ゲント君、先のキャスリーン様の話、受けるのかね?」

「え・・・な、何の事でしょうか?」

「悪いが盗み聞きさせて貰った、君も隅に置けないねぇ」


ニヤニヤと笑うヨナス。


「わ、私では釣り合いが取れません、故に」

「いや、悪いが君が如何しようと関係無いんだよ、今回の戦に君は連れて行かない」

「は?」


ぽかんと口を開けるゲント。


「ま、待って下さい、前回の【御使い】の時は私の体調不良で休みましたが

私は騎士です、戦場に行くのが仕事です」

「別に君を気遣っているのではないのだよ、寧ろ逆」

「逆?」

「君が足手まといにならないかと言う事だ」

「・・・確かに私は貴方達の様な騎士団長や副団長の様な次元では有りません

だからと言って戦う様な事は」

「君、気が付いていないのか?」


呆れた様にゲントを見るヨナス。


「・・・何がです?」

「・・・・・君の今の状況、死んでも可笑しく無いぞ?」

「え?」

「今の君の状況を掻い摘んで言うとこうだ

『戦いから帰ったら結婚するんだと言う兵士』」

「???」

「分からないか?死亡フラグと言う奴だ」

「・・・・・は?しぼうふらぐ?」


ぽかんと口を開けるゲント。


「良いか?こういう事を言う奴は直ぐに死ぬんだ、だから君は連れて行かない」

「何を言っているのか良く分かりませんが・・・」

「経験則上これは確実だ、君だって死にたく有るまい?」

「そりゃあまぁ・・・ですが戦いの末の死は覚悟の上!!」

「君の覚悟は知らん、死ぬかもしれん奴を連れてはいけない

故に君は置いて行く」

「そんな無茶苦茶な・・・」

「無茶?君は死亡フラグと言う言葉すら知らなかったじゃないか

君は置いて行く、例えキャスリーン様の命が有ったとしても置いて行く

裏工作をしてでも置いて行く、これは絶対の決定事項だ」

「そんな・・・キャスリーン様と敵対するおつもりですか?」

「それも良いだろう」

「え・・・何を言って」

「冗談さ、但し私のやる事にケチをつけて欲しくはない

私は戦のプロ、戦の事は私の判断に任せて貰いたい」

「・・・・・」

「以上だ、これで失礼する」


つかつかと去っていくヨナス、その背中を見るゲント。

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