第143話【幸せな夢の果て】

「私はクレール

ジェラール様の元でメイドとボディーガードの様な事を指せてもらっていたわ」

「ふぅん、何で捕まったんだ?」

「・・・・・ジェラール様は自分の父親の仇を取っただけです

しかし国はそれを認めなかった」

「ふぅん、主人と連座って事か?災難だったな」

「えぇ、ジェラール様も理不尽に捕まっているので早

く助けなければならない・・・

そこで私はジェラール様の救出を願います」

「なるほど、ご主人様も思われてるなぁ・・・腎臓と膀胱以外に何の死体を持っていたんだっけ?」

「腸ね」

「なるほど・・・じゃあ次はストーンだな」

「あち、あち」


魚にかぶりつくストーン。


「おい、聞いているのか」

「あ、悪い、改めて俺はストーンだ、持っている遺体は膵臓

俺はちょっと仇討ちをしたら牢屋に打ち込まれた」

「仇討ち?」

「そう、世話になった兄貴分の妹さんを殺した奴を打っ殺した」

「アンタ・・・願いと対照的に苦労してるのね・・・」

「別に良いじゃねぇか」

「・・・・・妙だな、その話」


デルが口を挟む。


「何が可笑しい?」

「・・・妹を蘇らせる願いにすれば良いのではないか?」

「・・・訂正しよう、妹さんを殺した、と言っても直接手を下した訳じゃないんだ」

「・・・つまり?」

「自分で考えろ、口にするのも悍ましい・・・」

「あー・・・何となく分かったわ・・・じゃあ次は俺だな

俺はダニエル、持っている臓器は脾臓・・・脾臓って何だ?」

「・・・脇腹に存在する血液を貯めて置く器官だ

激しい運動をして脇腹が痛くなるのは脾臓が活発に動くからだな」

「なるほど・・・やった罪は食い逃げや盗みとか」

「・・・しょぼいな」

「生きる為には仕方ねぇんだよ・・・」

「私も昔は貧しかったから良く分かるよ・・・」


共感するクレール。


「・・・最後は私か、私はデル、持っている臓器は肝臓

罪状は罪人の虐待と言う事になっている」

「罪人の虐待?と言う事になっている?」

「・・・うむ、私は魔術や外術の研究を行っている研究家だ」

「魔法使いって事か?」

「いや、研究家だ」

「・・・魔法は使えないのか?」

「使える」

「じゃあ魔法使いじゃないか」

「いや、研究家だ」

「・・・如何違うんだ?」

「宗教家と宗教学者は同じか?」

「・・・宗教学者が分かんねぇ」


頭を抱えるデル。

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