第142話【幸せな夢の行く先】

ついて行けないとトムとキャンポーがその場から離れて行った。

デルは二人に自分達の事を誰かに話したら殺すと脅しをかけるとそそくさと二人は

その場から立ち去って行った。


「・・・じゃあそろそろ行くか」

「何処へ?」

「・・・まずは服とか飯とか金とかの調達かな」

「調達?」

「・・・略奪と言い換えても良い」


デルが事も無げに言った。


「まず飯からにしねぇか?腹が減っては何とやらだ」


ダニエルが提案する。


「飯も何も何処に有るって言うんだ?」

「海から魚を手に入れれば良いだろ」

「如何やって?」

「俺はこう見えても元軍属だ、そういうのは訓練でやっている」

「そうか、じゃあ任せた」

「・・・じゃあ私は食べられる木の実とか色々探そうかね」


ダニエルは海へ、デルは林に入って行った。


「・・・・・じゃあ待つか」

「・・・私も林の方に行こうかなー・・・」


クレールがストーンと距離を取ろうとする。


「ガキには興味ねぇから警戒しなくて良いぞ」

「・・・・・・・」


無言で怒りを露わにするクレール。

そうこうしている内に魚と木の実、それからキノコを持ってデルとダニエルが帰って来た。

ダニエルが火を起こして魚とキノコを焼き、皆で食べた。


「あーうめぇ!!」


ストーンががっつがっつと遠慮無く食べ進める。


「どしたよ?お前が取って来た魚だ遠慮せずに食べろよ」

「お前は少し遠慮したら如何だ・・・何もしてないだろうが」

「馬鹿言うな、俺はこのガキの面倒を見てたぞ」

「見られた覚えは無いんだけどなぁ・・・あ、そのキノコ、毒よ」

「・・・・・」


クレールに指摘されてデルが毒キノコを林に放り投げる。


「おいおい、しっかりしてくれよぉ?」

「まぁ仕方ないよ、そのキノコは食用のとよく似てるから間違えやすい」

「詳しいんだな」

「昔取った杵柄って奴だよ」

「昔ねぇ・・・ここは如何だろうか、互いに自己紹介をしないか?」

「自己紹介?おいおい学校じゃあるまいし・・・」


ストーンはへらへら笑いながら嘲る。


「・・・別に構わないのではないか?」

「火を囲んでの自分語り、青春ぽくて良いね」

「3対1だな」

「・・・・・しゃあねぇか、じゃあ誰から話す?」

「そうだな・・・年齢順にするか?」

「年上?年下?」

「・・・何もしていない少女から右回りにやろう」

「分かった」

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