第141話【幸せな夢と皮算用】

「クソガキよ、まず一つ言っておこうか」

「な、何よ・・・」


ストーンが銃口を掴んで下ろさせる。


「俺は願いを叶えたくてしょうがない訳よ、それは理解出来るか?」

「ハーレムが欲しいって言うふざけた願いの事?」

「男なら誰でも夢見る話だよ、ジェラールって言う奴も男だったら

確実にハーレムを欲しがる」

「ジェラール様はそんな俗物では無い!!」

「まぁふざけているように見えるだろうが俺はマジな願いな訳だ

その願いを叶える為に

つまりグレートヒェンを倒す為には持っている優位を捨ててはならない」

「持っている優位?」

「数だ、グレートヒェンとやらは1人

俺達はやる気の無い奴を2人を抜いても4人」

「アンタ達が持っている死体を

私の体に取り込んで私が強い1人になっても良いと思うけど?」

「グレートヒェンは勇者の仲間だ、それだけで相当な実力者だと分かる

少なくとも俺達の様な半端者とは違い、マジな戦闘要員だ」

「私は・・・」


私は半端者じゃないと言いかけて

自分もメイドと兼職だった事を思い出し口を紡ぐクレール。


「戦いのプロ相手に俺達の様なアマチュアが勝てるとは思い難い

だから少なくとも優位になっている数だけは守って行った方が良いだろう」

「・・・・・確かに一理有るな」


傍観していたデルが口を挟む。


「・・・私は戦い向きじゃない

君達のサポートに回って確実に仕事の遂行を果たそう」

「へっ、何が戦い向きじゃねぇだ

アンタさっきの殺し合いで結構暴れていたじゃねぇか」


ダニエルは呆れた様に吐き捨てる。


「・・・・・あれは生き残れるように賢く立ち回っていただけだ・・・

私は本来ああいう事はしない・・・

少女よ、ここはこの男の言う通りに組んだ方が良い」

「しかし!!」

「・・・ジェラールとやらを救う為なら

ここは1人では無く大勢でかかった方が良い作戦の幅も広がるだろう

君の好みや信条でグレートヒェンを倒せる算段が有ると言うのなら聞いてみよう・・・」


黙るクレール。


「・・・少女よ、私は君を責めている訳じゃない、ここは互いの願いの成就の為

協力し合おうと言うのだ」

「・・・・・分かったわ、じゃあ協力しようじゃないの、後私はクレールよ」

「・・・デルだ、よろしく頼む」


握手をするクレールとデル。

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