第140話【幸せな夢と現実】

梯子を一人一人昇って行く六人

トム、ストーン、ダニエル、デル、キャンポー、クレールの順で外に出た。

クレールは梯子の外を見た時に驚いた。

辺り一面、海なのである。


「え?う、海?何で?」


パシャパシャと音が聞こえる、振り返ると砂浜に向かって泳ぐ5つの人の姿。


「・・・・・」


クレールも海に飛び込んで砂浜に向かった。

クレールが砂浜に着くと先程まで自分達が居た

海中の建物が海の外に沈んで行ったのが見えた。

如何やら移動した様だった。


「・・・・・さてこれから如何する?」


暫く息を整えた後にトムが口を開く。


「これから?グレートヒェンを殺すんでしょ?」


クレールがトムに答える。


「それなんだが・・・別にグレートヒェンを殺さなくても良いのではないか?

と思っているんだ」

「はぁ!?」

「どーゆーことだい?」


ストーンが尋ねる。


「俺は自由になりたかったんだ、そして今、俺は自由になった

ならば律儀にあの化け物の言う事を聞く必要も無いだろうと言う話だ」

「そいつは無理じゃないか?」


ストーンが反論する。


「無理?」

「そう、さっき大臣が言ってただろ?

グレートヒェンはファウストの死体の位置が分かるって

ならお前の場所を探して殺しに行くだろうって話だよ」

「それなんだが・・・」


トムが自分の腹に手を翳す、するとずるずると腎臓が出て来た。


「ファウストの死体は自分の意志で出し入れが可能らしい、欲しい奴が居るならやるよ」

「おいおい・・・勝手にそんな事して良いのか?大臣に何かされるんじゃないのか?」

「逃げちまえば大丈夫だろう」

「おいおい・・・」

「やる気のある奴が沢山死体を持てばいいと思うんだが如何だ?」

「じゃ、じゃあ俺も!!」


そう言うとキャンポーが自分の体から膀胱を出した。


「・・・・・ダニエルは如何する?」

「後が怖いし、このままグレートヒェンを殺しに行こうと思う」

「そうか、じゃあこの腎臓と膀胱は・・・」


クレールが腎臓を膀胱を自分の体に入れる。


「お、おい・・・」

「悪いけどグレートなんたらとか言う奴には因縁が有るの!!

力が手に入るなら喜んで貰うわ!!」

「・・・そうか」

「貴方達が持っている死体も貰おうじゃない!!」


クレールがストーンに銃を向ける。

ストーンは銃口に小石を押し込む。


「なっ!?」

「チョーシ乗んじゃねぇクソガキ」

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