第110話【英雄来たりて走り出す】

「・・・まだ終わらないのか」

「今暫くお待ち下さい」


スクラッチは大海城の入口付近の家屋に騎士団の救護班に治療を受けていた。

先程、サイトウに斬られた左肩の治療をしているのだ。

本来ならばこのまま突入したい所だが

流石に万全の体制で挑まなければ危険と判断し

スクラッチは騎士団の救護班に治療をさせているのだ。

魔術的な治療と薬事的な治療を併用し、早期の回復を狙っている。


「終わりました」

「随分かかったな」

「聖女ゾルゲ様の様な瞬時の回復は流石に私共では無理です」

「それもそうか、じゃあお前達はここで待機していろ」

「我々も向かわないで大丈夫ですか?」

「先程敵の幹部と斬り合ったがお前達では歯が立たない、俺一人で充分だ」

「分かりました」


言うや否や家屋から出て大海城に突入するスクラッチ。

内部には大半が既に出払っているのか殆ど誰も居なかった。

雑兵が数名居る程度でスクラッチは次々と雑兵を駆逐していった。


「謁見の間と言うのを探さないといけないんだが・・・一体何処だ?」

「ほぅ謁見の間に何用かな?」

「!!」


美しい姿の青年が長剣を携えてスクラッチの前に立ち塞がる。


「『士』二の剣『麗剣ササキ』です」

「スクラッチ・・・って言うんだけど知っているか?」

「知りませんね、そしてさようなら」


ササキは長剣を抜刀した。


「!!」


スクラッチは咄嗟に伏せた、スクラッチの頭上をカマイタチが通り

壁を切り裂き窓ガラスが割れて飛び散る。


「私の『燕返し』を避けるとは・・・名の有る方の様で!!」


ササキは咄嗟に横に躱した、数瞬前に自分が居た場所に槍が差し込まれている。

一足飛びにやって来たスクラッチの槍だ

バックステップで後ろに下がるササキ、スクラッチも後を追う。

ササキはカマイタチで反撃しようとしたが距離が足らない。

後ろ向きで全力疾走をするササキ、スクラッチも後を追う。


「なんとまぁ素早い方だ!!まるで鼠の様ですよ!!」

「なんとまぁ奇怪な走り方だ、まるで気が触れている様だ」


抜刀からのカマイタチで足を狙うササキ、しかしスクラッチは見事に躱す。


「ササキ様!!」

「退け!!お前達!!」


道に出くわした雑兵に激を飛ばすササキ、さっと避ける雑兵

そして通り過ぎさまにスクラッチに首を刎ねられる、その際にカマイタチも投げられるが

回避される。


「とんでもない奴が居た物ですね!!」

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