第111話【流浪の銃士は絶句する】
シュルトゥは家々の屋根を飛び回り大海城へと向かっていた。
昔取った杵柄、義賊の経験を活かせばこの程度の事は容易く出来る。
あっという間に大海城まで辿り着いた、そして城の中で轟音が鳴り響く。
「スクラッチの奴が始めたか、じゃあこちらも行くか」
シュルトゥはワイヤー付きナイフを大海城に投げた。
一方その頃、旗艦の方では
「うわあああああああああああ!!!」
「ひゃああああああ!!!」
「糞おおおおおおおおおお!!」
甲板にかけられた高梯子に火のついた油が掛けられ焼け落ちる。
先程からノートゥとヴァーグナーの活躍により
甲板の戦いが一段落したので次々と梯子が落とされている。
「これで高梯子は全部か・・・」
「う、うん、そうだね・・・ヴァーグナー君」
「下は如何なっている?」
下の様子を伺うヴァーグナー。
ヤギュウが奮戦しているが、戦況はこちら側が有利である。
「何とかなっている・・・か」
「そ、そうだね・・・」
「ん?何だアレは?」
ヤギュウは何か瓶を取り出した。
「・・・瓶?ヴァーグナー君、あれは一体・・・」
「私も知らない、私が居ない間に造り出した何か、か?」
瓶を思い切り叩きつけるヤギュウ、すると煙が周囲を包んだ。
「ぐわ!!」
「ぎゃ・・・」
「ぐうう・・・」
「毒の煙か!!吸うな!!死ぬぞ!!」
ヴァーグナーが叫ぶ、そして・・・
「ヤギュウが居ない!!」
「い、いいいいいい一体何処に!?」
「中に入ったか!?」
「すすすうすすすうす直ぐにめふぃ、メフィストちゃんの所に戻らなきゃ!!」
混乱するノートゥを後目に走り出すヴァーグナー、ノートゥも後を追う。
「不味いな・・・先にメフィストの所に辿り着かれたら・・・」
「ミヤモトって言う奴が動けるようになるんだよね・・・そうしたら・・・」
「一気に巻き返される可能性もある」
「急がなきゃ!!」
全力で走る、ヴァーグナーとノートゥ
メフィストフェレスが居る部屋まで後少しの所で・・・
「くっ・・・近衛が!!」
メフィストフェレスの近辺を守る近衛兵達の死体が散乱していた。
「いそ、急ごう!!」
「あぁ!!間に合え!!」
死体の山を乗り越えメフィストフェレスが居る部屋まで辿り着く扉は既に開いていた。
「あぁ糞!!」
「生きててメフィストちゃん!!」
中に飛び込むヴァーグナーとノートゥの眼に飛び込んでいたのは・・・
「嘘だろ・・・」
「そ、そんな・・・」
剣をメフィストに振り下ろしたヤギュウの姿だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます