第108話【流浪の銃士は背を合わせる】

コンドウが剣を振る度に十数人の騎士や兵達が地面毎吹き飛ばされる。

まるで戦いにならない、一方的な虐殺である。


「遠巻きに囲め!!直接やり合うな!!」


ヨナスが絶叫しながら指示を飛ばす。

混乱する中でヒジカタとヤギュウは高梯子を上る。

甲板から攻め込む気なのだ。


「急げよ!!」

「あぁ!!・・・!!気を付けろ!!」


高梯子の上から熱した油が掛けられる。

液体を切り刻む事が出来ないのでヒジカタは咄嗟に飛び上がり

ヤギュウは飛び降りて回避した。

飛び上がったヒジカタに甲板に上がったヴァーグナーの銃弾が撃ち込まるも

飛びながら銃弾を切り落として事無きを得た。

そして甲板に着地するヒジカタ。


「よぉ!!若様!!生きていたのか!!つー事はさっきのはDummyか!!」

「その通りだ」


撃ち続けるヴァーグナー

銃弾を次々と叩き落しながらヴァーグナーに迫るヒジカタ。

剣が届くまで後3歩、2歩、1歩、0、と剣を振り落とすも剣を止められる。


「!?」

「ど、どもノートゥです」


ノートゥがヒジカタの剣を受け止めた。


「俺の剣を受け止めるとは、何も」


言い終わる前にノートゥの剣戟が始まる。

二刀流のノートゥの剣戟に齧りつくヒジカタだったが、速過ぎて追えない。

顔に傷を幾つか拵えて下がる事を余儀無くされる。


「くっ」


そ、と言う前に乾いた銃声が響く、ヴァーグナーの攻撃である。

ヒジカタは剣で銃弾を撃ち落としたと同時にノートゥの剣戟で首を刎ねられる。


「ば・・・かな・・・」


ヒジカタの首が甲板から吹き飛ばされる。


「ヒジカタ殿!!」


船の下のヤギュウが叫ぶ。


「っ!!お前達急げ!!」


ヤギュウが船の下で雑兵達に檄を飛ばす高梯子に次々と殺到する雑兵

甲板に徐々に上がって来た。


「う、うーん・・・近衛の人達ちゃんと仕事して欲しいなぁ・・・」

「つべこべ言わずにやるぞノートゥ」

「う、うんヴァーグナー君、何か大きい音がしたし、し、下が心配だかえど・・・」

「シュルトゥに期待したい所だ、ヤギュウも居るから問題無いだろうが・・・」


背中合わせになるヴァーグナーとノートゥ。

そして走り出す

次々と敵の首を刈るノートゥと脳天に銃弾を撃ち込むヴァーグナー。


「雑兵なら大丈夫だが・・・『士』がまた来るとヤバいかもしれないな・・・」

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